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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
短編 湖札とウロボロス、出会いの物語 A
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の事実を、認めてしまった。



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「む・・・この辺りのはずだが・・・」

殿下たちは目的地にたどり着き、召喚した魔王を探していた。

「間違いなくこの辺りなんだけど・・・お、殿下。あの人じゃない?」
「む・・・人間、か?」

リンが見つけたのは、頭を抱えて座り込む一人の少女だった。

『いや、こんなところに人間はいないだろう。恐らく、あれが』
「召喚した魔王様、ですよね?」
「・・・まあ、二人の意見が正しいのだろうな。」

殿下は二人の意見を認め、少女・・・湖札に近づいていく。

「イヤ・・・」
「・・・は?」

そして、湖札が漏らした言葉に疑問の念を返し、

「イヤァァァァァァァァアアア!!!!!」

そう叫ぶ湖札から強力な風が吹き荒れ、三人揃って吹き飛ばされる。

「く・・・なんだあの風は!?」
『分からん!だが、風であれば・・・!』

そう言って、グライアは風をぶつけ、相殺して見せた。
流石はグリフォン、といったところだろう。

「グリフォン・・・言霊よ、宿れ」

そして、湖札は生気なく立ち上がり、洋弓を構えてグライアに狙いを定める。
それは銀色の弓ではなく、湖札の記憶にも有った黄金(・・)の弓だ。

『フン、弓何ぞでわしを貫けるはずが』
「グー爺!今すぐに生命の目録を使え!」

グライアが余裕そうに構えていると、殿下があせってそういった。
特に理由があったわけではないが、殿下は湖札の弓を危険だと判断したようだ。

そして、グライアは反射的に生命の目録を使い、ギリギリ、湖札の矢が当たる前に発動することが出来た。

『グ・・・なんだ、この矢は!?』

そして、翼に矢を喰らったグライアは苦しそうにうめく。
これが、封印が解けた状態の湖札のギフト、『言霊の矢』である。
封印が解ける前は自ら言霊を唱える必要があったが、解けた状態・・・元々の状態なら、自分の中に知識があれば問題なく発動することが出来る。

グライアがこれを喰らって生きているのは、生命の目録を発動することで自らの中に異なる種の力を宿していたからだ。
あくまでも湖札が放ったのはグリフォンを穿つ矢なのだから、他の種を穿つことはできない。

「まずいな・・・リン、グー爺を安全なところまで運んで手当てしてやってくれ。」
「うん、分かった。殿下はどうするの?」
「そうだな、とりあえず・・・」

殿下はそう言って、自我を失っている湖札に肉薄する。

「コイツを、俺の配下におく!」

そして、二人は拳をぶつけ合った。
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