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正義と悪徳の狭間で
導入編
麻帆良編
導入編 第3-M話 昔話
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ゃあロアナプラにはかなわねぇだろうけどな」
そんなことを言いながら、笑って見せる。

「そりゃあな、あの街じゃ『誰もが平等に価値がない』んだろう?」
それにマナも苦笑で返してくる。
「その通り、そしてその出自なんて誰も興味がありゃしねぇ、人種や出自なんか札の通し番号かなんかと一緒さ。
まあ、ロアナプラ以外の足場の関係で本当にそういった出自や血筋が無価値ってわけでもねぇけどな」

コーラをちびちびやりながらそんな事を話していると店員が膳を二つ持ってきた。
「お待たせしました、鳥釜飯御膳2つ、お持ちしました。
釜飯はもう10分ほどで炊き上がりますのでもうしばらくお待ちください」
店員がそう言って下がっていった。

その膳は前菜らしき山菜の佃煮や高野豆腐、それにきゅうりの酢の物が一口ずつ、
加えて鶏肉らしき刺身、串焼きの鶏肉(タレ焼きと塩焼き)、筑前煮という煮物、それに鳥肉の天ぷらだった。

「では、先にいただこうか」
マナが箸をとる。私も箸をとって高野豆腐を食べる…なかなかうまい。

「そう言えばコウキさんは一緒じゃないのか?」
コウキはマナのパートナーで、四音階の組み鈴に所属する『マギステルマギ』資格を持つ魔法使いだ。
「数日前までは麻帆良にいたんだがな…ここ数日は四音階の組み鈴の活動で日本中を飛び回っていて家にも帰ってきていない」
酢の物の器を置いて不機嫌そうにマナがいう。

「娘を置いてきぼりにするとは悪いダディだな」
筑前煮とやらをつつきながらマナをちゃかす。
もちろん、コウキとマナが親子関係だという事実はない…はずだ。

「…私はコウキの義従妹だ、ちゃんとコウキの叔父夫妻にも認めて貰っているよ、レイン」
少し頬を赤く染めてマナが言った。
いつの間にか戸籍上も身内になっていたようだ。
親子にしなかったのはコウキさんとの年の差が原因か、あるいはマナのコウキへの気持ちゆえか…
…この国、従兄弟でも結婚できるらしいからな。
「冗談だって…ん?従妹?」
確かユウキさんのフルネームは…

と、言ったところで引き戸がノックされ、店員が扉を開けた。
二つの釜を持ってきて私達の前に置く、そして汁物の入った椀と漬物も出てきた。
「それでは失礼いたします。お熱くなっておりますのでお気を付けください」
そういってまた店員は去っていった。

「自分達で盛るのか」
「ああ、茶碗に軽く盛って三杯分ある。こげは残しておいてお茶漬けがおすすめだ」

マナのまねをして釜の中身を混ぜ、茶碗に盛った。

「うまいな、マナが勧めるだけはある」
「コウキのお気に入りでな、麻帆良に帰ってきたら大抵一度はよることにしているんだ」
やっと来た、といわんばかりに釜飯をつつく。

「それで話の続きなんだが、
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