GGO編ーファントム・バレット編ー
63.温かな雫
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連行してきたのは、誰だったのか確認していなかった。
体を後ろに向け、その姿を確認するとその姿に驚かされる。
綺麗な茶髪のポニーテールに可愛らしい顔立ちの少女。
この学校でこの人の存在を知らないものはいないほどの有名人。一つ上の学年で生徒会副会長をしている少女、中井玲那。
「お前は黙ってろっつうの、玲那」
「.....って!アンタが何で副会長と知り合いなのよ?」
一瞬、目を完全に泳がせ黙り込む。
「まぁ、ただの関係じゃないことだけは覚えておいてね、朝田さん」
満面の笑みに少し前屈みで中井先輩は、口にする。
「誤解を生むような言い方すんじゃねぇよ、玲那!」
「それよりも時間は大丈夫なの、シュウ?」
「そうだな」
ハンドルに掛けられたヘルメットを取ると、差し出してくる。
コイツの中身は、GGOと変わらないのだ。私がピンチのなりと絶対に助けに来てくれる。そんなこいつのことだから彼女のことも助けたのであろう。
そんなことを思いながらヘルメットを受け取る。鞄を斜めに掛けにして、ヘルメットを被ったところで、ベルトの留め方がわからずにいると、
「ちょっと失礼」
シュウの手が伸びてきて、手早くベルトを固定する。顔が熱くなるのを感じ、慌ててシールド降ろす。
シュウも黒いヘルメットを装着し、ふと首を首を傾げた。
「......シノン、その.....スカートは大丈夫か?」
「体育用のスパッツ穿いてるから」
「それはそれで問題なような」
「別にあんたからは見えないでしょ」
「ま、まぁ.....そうだけど」
少し納得いってないような表情をしているのがヘルメットを被っていてもわかる。勢いよくバイクのリアシートに跨る。
「それじゃあ、しっかり掴まってろよ」
キーを捻ると、甲高い音を立ててバイクが起動する。私はシュウの体にぎゅっと手を回した。
学校がある文京区湯島から、目的地の中央銀座まで、地下鉄で行くのは大変だが、地上を行くなら案外近い。
十五分ほどで目的地には到達した。
外したヘルメットを手に持ったままいかにも高級そうな喫茶店へとシュウは向かっていく。ついていき、ドアを開けると白いシャツに黒い蝶タイのウエイターが、お二人様ですか、と聞かれていると店の奥からこの店の雰囲気をぶち壊す大声がした。
「おーいシュウくん、こっちこっち!」
「......えーと、アレと待ち合わせです」
シュウが言うと、ウエイターは、かしこまりました、と一礼して歩きはじめた。ものすごい場違いさを感じながらテーブルへと歩く。
目指すテーブルの向こうにダークブルーの高級そうなスーツにレジメンタルタイ、黒縁眼鏡を掛けた背の高い男だった。あともう一
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