暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
再び出会う雪の少女
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 …………いや、本気で意味が分からない。

「………………」
「………………」

 一瞬にして混乱の極致に立たされた俺は、訳も解らぬまま商店街を歩き続ける。

 後ろを振り返ってみるも、相変わらず白いナニかは後に付いてくる。

 これはもう、意を決してこちらから話し掛けるしかないのではなかろーか?

「えーっと、イリヤスフィール?」
「ふふ、なぁに?」

 途端、ニコニコしながら返事をしてくれた。

 しかし『なぁに?』と問いたいのはこっちの方でございまして。

「もうっ。ずーっと後ろに居たのに、いつまで経っても気づかないんだから。気づいてからも、話し掛けてくれないし」
「はい? ずっと後ろに居たって……いつ頃からですか?」
「お野菜を買っているところからよ。あんまりに無防備なものだから、襲っちゃおうかなぁって思い始めてたわ」

 いやいやいや、襲っちゃおうかなぁて。

 俺は商店街に入って買い物をしている間、ずっとこの子の気配に全く気づかなかったのか?

 間抜けを通り越して自分自身に呆れすら感じる。
 最強のサーヴァントを従えるマスターであるこの少女の存在に気づかないなんて、俺はいつ死んでもおかしくない状況にあったってことだ。

「どういうつもりで仕掛けてこなかったのかは知りませんが……ここで戦り合うつもりですか?」
「む。やらないよー。マスターはね、昼間に戦っちゃダメなんだよ? そんなことも知らないの?」
「へ?」

 恐らくいま、俺は目が点になっている。

 なんだろう。前回会ったときとは印象が違うというか、魔術師然としていないというか。

 これでは年相応の少女ではないか?

「戦うつもりはないと? それなら、何で後を付けてたんでしょう?」
「本当はね、他に会いたい人が居たんだけど全然会えないの。でもそれじゃあつまんないから、偶然見つけたクロガミの観察をしていたのよ」
「はぁ…………観察、ですか」

 待ち人来たらず、といった感じか。

 ていうか、自然と敬語になっている自分に地味に感動する。
 幼い頃の教育はこの歳になってもしっかり身に付いていたらしい。

 とりあえず戦闘意思はないようなので、警戒を最小限にしつつきちんとイリヤスフィールに向き合う。

「それでは、何か御用でも?」
「ううん、用なんかないよ?」
「…………本当に、観察してただけ?」
「う、うん、そうだけど…………だ、だめだったの……?」
「え、いや……別に構わないんですけど…………」

 俺なんかの観察をしていても、何も面白いことはないと思うんだけどどうなんだろう。

 イリヤスフィールぐらいの歳の子が何を考えているのかなんてまるで見当がつかない。
 俺の|対人
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