藍橙の空を見上げて
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秋斗さんと別れた後に月ちゃん達の天幕にお邪魔した。
「それで? 雛里はボク達になんの話があるの?」
ふう、と息をついて寝台に腰を下ろした詠さんが尋ねる。
「……秋斗さんの見逃している事柄についてです」
言うと真剣な表情になって二人は私を見つめて身体を乗り出し続きを促した。
「あの人が耐えられない可能性も考えておいてください。最近目元に隈が出来ているのは気付いておられると思います。心が擦り切れるギリギリなのかもしれません。なので耐えられないその時は秋斗さんを王とせず、誰かの元に行かせてあげたいんです。内側からの自浄作用の道も示してあげるのも一つの手だと思うのですがどうでしょうか?」
例えば曹操さんや孫策さん。彼女達は一番秋斗さんに近いから共にやっていけると思う。
言うと二人は驚いて、でも詠さんは感心したように頷いてから口を開いた。
「実はボクも同じ事考えてたわ。あいつなら、まあ袁家以外のどんな場所でもやってけるでしょ」
「でもそれをした時もあの人にとってはダメなんじゃないかな?」
月ちゃんの言葉は鋭い所を突いている。
「きっと初めは拒否すると思います。でもあの人は他のどの王だろうと手段や過程は違っても目指す所は同じだと理解していますので、相手と状況によってはそういう道も考えてくれるかと」
「まあ、今後の周りの動きと状況次第って事よ。その都度あいつにボク達の考えを伝えて、平穏を作るための最善の方法を選択させるの。あいつが桃香にやってきた事をするだけ。秋斗の場合理想ばっかり見てはいないからそのくらいの判断はするでしょう。それとね、月があの時代わりにと頼んだのと同じ事よ?」
二人で説明するとなるほど、と頷く。月ちゃんは秋斗さんに王の想いを託したからこそ楽になったはず。それと同じ事を出来ればあの人は救われる。あの人が壊れるなんて絶対に嫌……だからその時は私がなんとしても説得してみせる。
「ふふ、雛里ちゃんは秋斗さんの事が本当に大切なんだね」
月ちゃんからの奇襲に思考の虚を突かれて硬直してしまった。
「あわわ……」
頬が熱くなり、自分の心の中を言い当てられたことが恥ずかしくて思わず俯く。顔赤くなってるんだろうなぁ。
「もうダメ! 雛里ちゃん可愛い!」
何故か彼女はそんな声を出して私をぎゅっと抱きしめてくる。私なんて全然で、月ちゃんの方が凄く可愛いのに。
「真剣な話してたのにどうしてこんな事になるのよ……まあいっか。月、ボクにも抱きしめさせなさい!」
「く、苦しいでしゅ……」
挟まれて少し苦しかったが、二人の暖かさと、あの人を支える仲間が増えた事が嬉しくて、私は自然と笑顔になっていた。
どうかこれから全てが上手く行きますように。
桃香様も、朱里ちゃんも、愛紗さんも、鈴々ちゃんも、皆で平穏
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