黒麒麟の右腕
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心は一つだった。
「ならば心に刻め! 乱世に華を! 世に平穏を!」
『乱世に華を! 世に平穏を!』
俺はその時心の底からの忠誠を誓った。彼こそが俺が掲げるべき御大将であると。御大将のためなら俺の命を捧げられる。
遥か昔の事のように感じて懐かしんでいるといつの間にか自分の昼メシは無くなっていた。
ここまでいろいろあった。長きにわたる黄巾との戦でも、旅立ち、別れを告げる数多の仲間から想いを託されてきた。
今回の戦に於いてもたくさん犠牲になった。もはや俺達は立ち止まることなどできやしない。
俺に出来る事は御大将が壊れないように、少しでも負担を減らせるように動くだけ。
あの方のマネをして似合わない敬語も覚え、寝る間も惜しんで兵法を学び、何度も言われた事を復習して知識と経験を高めてきた。
ひたすら突っ走っている内に副長に任命され、その時は泣いて喜んだ。真名は預けているが俺はいついかなる時も右腕でありたいがために副長と呼んでくれと願い、それも受け入れてくれた。
きっとこれから先もずっと変わらない。
「副長、昼は済ませたみたいだな。午後からは徐晃隊に休息を与えるからお前もゆっくり休んでくれ」
「御意」
後ろから掛けられた声にゆっくりと立ち上がり、一つ会釈をして返答を口にする。
願わくば、この乱世の果てに御大将の望む平穏のあらんことを。
願わくば、強くて弱い、優しい彼にも安息の日々を。
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