第五十六話〜すり減らしてゆく力〜
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、それは今のライにとってできる最も突破力に優れた魔法であった。
三方向からの攻撃の防御と全方位に展開された事により、部分的な守りが薄くなった鎧にライはその槍を突き入れる。
その槍は虹色の魔力の鎧に深々と突き刺さる。だがヴィヴィオには届ききらず、ライは空中でその動きを止めた。
「とど――」
ここで引くわけにはいかないライは自然と口を開け叫ぶ。
「けえええええええええええええええええええ!!!」
「うあああああああああああああああああああ!!!」
2人の叫びが木霊する。
ライはただ攻撃を通すために進もうとし、ヴィヴィオはそれを拒むように弾こうとする。
銀色の魔力と虹色の魔力が擦過し、火花と異音を散らす。そしてそれはライの槍がジリジリとヴィヴィオに近づいていっていることを意味した。
「「!」」
ライは自分が押している事に、ヴィヴィオは攻撃が止まらないことに反応を見せる。
(このまま―――?!)
残り数センチで届くと勝機が見えた瞬間、自分の中で何かが切れる音をライは確かに聞いた。
「……え?」
グラリと身体が傾き、ライは間抜けな声を洩らすことしかできなかった。
空中で干渉していた為、それが無くなるとライは真っ逆さまに床に吸い込まれるように落ちていく。それでも何とか受身を取ることができたのは、身体が覚えていたからだろう。
ライは派手な音を立てながらも床の上で態勢を立て直す。しかし、床に降りた瞬間、身体にのしかかるように脱力感が襲ってくる。そのせいで、ライは中途半端に身体を起こすことしかできず、その結果俯いた状態で四つん這いになっていた。
「魔力が……」
思わずといった風にライの口から言葉が溢れる。
起こったことは至極簡単で、だがだからこそライにとっては絶望的であった。ここに来てとうとうライの魔力が尽きたのだ。しかも、予備のカートリッジも全て使い切り今のライは文字通りガス欠状態である。
「ハァハァ……ハァハァ……」
先ほどと似た構図。ライは地に膝をつき、ヴィヴィオは息を上げながらもライを見下ろしている。先ほどと違うのはヴィヴィオがライに向けて近づいていっていることであった。
たったそれだけの違いではあるが、この光景を見ていた六課のメンバーの心に絶望を落とす。
『ヴィヴィオ、ダメーーーーーーーー!!!!』
なのはは画面越しに叫ぶが、ヴィヴィオはそちらに視線すら向けない。
血の雫を落としながら未だ立ち上がることのできないライの前にヴィヴィオは立つ。そして未だに頭を上げないライに向けて拳を振り下ろすために、腕を上げ――
「―――限定接続」
――ようとしたが、それはライの呟きと、それと同時に突如発生した魔力の暴風
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