第五十六話〜すり減らしてゆく力〜
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ない?」
「……」
はやての言葉に今度こそゼストは言葉を失くす。
「それにな――」
はやてはヴィータとゼストの前に出る。
「手段が無いわけやない!」
そう叫ぶとはやては夜天の魔道書を開き、右手に持った金色の杖、シュベルトクロイツを敵の集団に向けた。
「夜天の主の名は伊達やないで!」
はやての叫びに呼応するように彼女の足元に白銀の魔法陣が展開される。
「闇に沈め!ディアボリックエミッション!!」
叫びと共に彼女がシュベルトクロイツの指し示した方向、敵の密集地域の中心に黒い魔力の塊が膨れ上がる。その塊は敵を多数巻き込み破壊を生み出した。
それを引き起こした少女の背をゼストはどこか憧れるように、眩しい物を見るように目を細めていた。
ゆりかご・聖王の間
エナジーウイングが飛行の軌跡を描き、虹色の魔力がその部屋の壁や床、天井を破砕していく。
緑色の線が虹色の塊を囲むその光景は、どこか鳥籠を連想させる。そして第三者が見ればとても美しく、神々しさすら感じるその光景を生み出している2人の王には、その美しさを曇らせるほどに苦渋の表情を浮かべていた。
「――ギッ!」
自分の口から溢れ出す音が歯を食いしばる音なのか、それとも苦悶の声なのかライは判断がつかなかった。
「うあああああああ!」
駄々をこねる子供の様に腕を振るうヴィヴィオ。彼女が何らかの動作をする度に、ライの元へ虹色の魔力が破壊の牙となって降りかかる。
「ツッ!」
迫ってくる魔力塊の表面をなぞる様に、ライは自分に損害を被るか、被らないかのギリギリのルートを飛ぶ。
ヴィヴィオに反応される前に仕掛けようと、ライは正面から突っ込み、蒼月の刀身を彼女に向け振るう。かなりの速度が出ていたが、ヴィヴィオは腕を交差させ防ごうとする。減速を全く行わずに攻撃したため、ライは蒼月から確かな手応えを感じながらヴィヴィオのすぐ横を通り過ぎる。
勢いがついたまま、ライは壁に向かって直進する。
「あわや激突か?」と思われるような状況。だがライは空中で姿勢を変え、壁に着地する。
「グッ!」
バリアジャケットが無いために着地の衝撃を吸収しきれず、身体の至るところから痛みと何かが軋む音がする。だが常人ならば耐えられないような衝撃であるが、嘗てブリタニア軍内で肉体を改造されたライはそれに耐え切った。今だけは自分の身体を弄った禿頭の男にライは内心で感謝した。
自分が感じる痛み、不快感を全て無視し、ライはパラディンのカートリッジを一発消費し照準。銃口の先に虹色が映り込んだ瞬間、ほぼ反射的に引き金を引く。
真っ直ぐに進んでいく圧縮魔法により生成された魔力弾がヴィヴィオを捉える。
先
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ