第五十六話〜すり減らしてゆく力〜
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ゆりかご・動力部
様々な場所で戦闘が行われている中、ゆりかごの心臓部である動力ルームでこの戦局を左右する戦いが繰り広げられていた。
「でやああああああああああああ!」
「はあああああああああああああ!」
片や鋭利な刃を持つ槍を持つ武人、ゼスト。片や全てを粉砕しようとする鎚を持つ鉄槌の騎士、ヴィータ。
2人は同じ場所を目指して進撃していたが、途中で遭遇。その時に交戦しそうになったが、ゼストがライからの依頼で動いていることを説明すると、2人は目的を果たすまでの間協力をする事を約束していた。
先の襲撃事件の際の禍根がないわけではないが、それを理由に今の目的を見失うほど2人は愚かではなかった。
そして2人が協力することで、進撃速度は上がり2人はかなり早いペースでゆりかごの動力部にたどり着くことに成功する。
だが、ゆりかごの動力炉には最終防衛ラインとしての迎撃システムが存在した。ここに来るまでに2人が交戦していたのは、スカリエッティ陣営が用意していたガジェットとナイトメアフレームのみである。それはゆりかごと言う規格外の兵器が初めて見せた自衛行動。これまでの戦闘が可愛く思えるほどの攻撃が2人の進行を阻んでいた。
「くそ、これじゃあキリがねえ!」
大声で悪態をつくヴィータ。彼女は手に持つ鎚、グラーフアイゼンを握り締め直しながら敵と目標兼目的を睨み据える。
ゼストとヴィータを阻む防衛システムは、複数展開された正六面体の赤いキューブである。そのキューブは一定距離に接近してきた敵に対し、迎撃用の魔力砲を撃ってくる。そしてタチの悪い事にこのキューブは一定時間が経つに連れて分裂を繰り返すのである。
2人はそれが判明した瞬間キューブの破壊と進行を同時に進めようとしていたが、如何せん敵の数が多すぎた。
たった2人では手数が足りず、後退を余儀なくされているのが2人の前に横たわる現実であった。
徐々にキューブが増えていき、広大な動力部の安全地帯が減っていく。真綿で首を絞められるような感覚に歯噛みしながら、ヴィータは焦りを覚え始めていた。
「おい」
「なんだよ?!」
カートリッジを補填しながらゼストはヴィータに声をかける。苛立っていたヴィータは乱暴な返答を返す。
そんな彼女の態度にも特に気にした様子もなく、ゼストは淡々と告げる。
「俺が囮になる。そちらで動力部を潰せ」
「はぁ?!」
自分を蔑ろにする発言にヴィータは頭に来たのか、驚きの声と共にゼストに詰め寄った。
「ふざけんな!」
「ふざけてなどいない。それがベストの選択と判断した」
「それはベストじゃなくて、ベターだろうが!!勝手に1人で決め付けて諦めてんじゃねえ!!」
「ヴィータの言
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