第二章
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その服を作ってからです、そのうえで相変わらず夜ふかしを続けている拓哉君を驚かせることにしたのです。
拓哉君は今も夜遅くまで起きておもちゃを動かしたりぬいるぐみに話しかけて遊んでいます、その我が子を物陰から見ながらです。
二人で、です。こうひそひそとお話するのでした。
「じゃあな」
「ええ、今からね」
「部屋の灯りを消してな」
「そしてね」
こう二人でこっそりとお話するのでした。
「そして拓哉が暗がりに驚いた時にな」
「驚かしましょう」
軽く打ち合わせをしてそうしてでした。
二人は我が子を驚かせようとしました、すぐに灯りを消しました。
拓哉君は急に灯りが消えてまずはこう言いました。
「停電?」
「うっ、慣れてるな」
「結構強いわね」
お父さんとお母さんはもうお化けの格好になっています、その姿で難しい顔になってひそひそとお話しました。
「僕達の子供ながら」
「暗がりにすぐに驚かないなんて」
「これはすぐに驚かせても」
「無理かも」
こう不安を抱いた時になのでした、不意に。
何処からか声がしてきました、その声はといいますと。
「夜ふかしする子は誰だ?」
「えっ?」
この言葉にはです、拓哉君だけでなく両親も思わず声をあげました。
それでお父さんはその声が自分の声ではないことを確認してからお母さんに尋ねました。
「お母さん、じゃないよな」
「お父さんじゃないわよね」
お母さんもこうお父さんに言い返します。
「今の声は」
「僕じゃないよ」
お父さんはお化けの格好で首を横に振ってお母さんの問いに答えました。
「絶対に」
「じゃあ今の声って」
「誰なの?」
二人共このことにまず何かと思いました、そして。
拓哉君のいる方を見るとです、暗がりの中に。
白いぬぼっとした、それこそ二人が今なっている格好そのものの姿の何かがいました。白い姿で耳まで裂けた口に黄色く大きく光る目にです。
両手がありますが足のところはぼうっとした感じで見えません、その姿の何かがいて拓哉君の前に立っています。
それで、です。こう拓哉君に言うのでした。
「寝ない子は誰だ?」
「そ、それは」
拓哉君はぬいぐるみを抱いたままがたがたと震えています、暗くなったことは怖くなかったのですが。
それでもです、そのお化けを見て言うのでした。
「その」
「御前か?」
お化けは拓哉さんに問います。
「御前が夜ふかしをしているのか?」
「あの、その」
「夜ふかしをする子は悪い子だぞ」
その耳まで裂けた口での言葉でした。
「悪い子は食ってしまうぞ」
「食ってしまうって」
「そうだ、食ってしまうぞ」
こう拓哉君に言うのです。
「さあ、御前は悪い子なのか?」
「あの、僕は」
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