第五章
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「サボテンでもあれば違うって」
「そうなのね、だからなのね」
「置いたの」
こう話してだ、そしてだった。
真希はそのサボテンを置いてもらって見はじめた、そして自然に。
サボテンに声をかけたりもした、一人の時は特に。
起きる時や寝る時は挨拶の言葉をかけた、そのうえでナースのお姉さんにもこう言ったのだった。
「何か自然とね」
「言葉出すことが多くなったでしょ」
「サボテンに話しかけてね」
それでだというのだ。
「独り言だけれど」
「それは独り言じゃないわ」
「そうなの?」
「だってサボテンも生きてるから」
だからだというのだ、お姉さんは。
「話し掛けてるからね」
「独り言にならないのね」
「そうよ、安心してね」
「そうなのね、それじゃあ」
真希はお姉さんの言葉に安心した、そしてだった。
入院している間何かあるとサボテンに話し掛ける様になった、そして。
表情が明るくなった、これまでは退屈な入院生活に辟易している感じだったがそれがそうなったのである。
それは見舞いに来た母にもわかった、それで娘にこう言ったのである。
「あんた最近明るいわね」
「一緒にいるからね」
「一緒って?」
「そう、サボテンとね」
その窓辺のサボテンを見てだ、笑顔で答えた真希だった。
「一緒だからね」
「それで一緒にいるからね」
「それでなのよ」
「そういえばサボテンとか木と一緒にいて」
ここでだ、真希を見て母も言う。
「声をかけるといいっていうわね」
「そうなのね」
「ええ、植物も生きてるから」
このことは否定しようがない、木々もだ。
「声を掛けるとね」
「いいのね」
「あんたにとってもいいし」
「サボテンにとっても?」
「そう、いいっていうわ」
こう話すのだった。
「まあサボテンの感情を調べる機械もあるけれどね」
「それを見ればいいのね」
「そうよ、けれどあんたを見るとね」
「私にとってはいいことよね」
「ええ、いいわ」
とてもだというのだ、母は。
「だってあんたの顔とても明るいから」
「そう、じゃあ入院の間はね」
「一緒にいるといいわ」
「そうよね、それじゃあね」
「入院生活はまだまだ続くけれど」
一ヶ月半はある、だがその間だというのだ。
「サボテンと一緒にいてね」
「そうするわね」
「それであんたが楽しくなれるのならね」
こう話してだ、そしてだった。
真希は入院生活の間ずっと床の中からサボテンを見て話し掛けた、ゲームや漫画も自然と楽しむ様になった、只の退屈紛れにはなくなっていた。
それでだ、残る一月半もあっという間に過ぎた、医者にはこう言われた。
「もうこれでね」
「退院していいですね」
「うん、いいよ」
笑顔でだ、医
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