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XANIS
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イタリアのどこかの森に、私はいた。

三つ時前から雨がずっと降っている。

森の中には、雨音と私の鳴き声だけが響いていた。

私は歩けない。

喋ることもできない。

こうして泣くことしか、私はできない。

長い間雨にさらされ続けた私の意識は、朦朧としていた。

冷たくなる体を包むのは、薄く古びた毛布一枚だけ。

身の危険を感じているのに、私は自分では何もできない。

ただただ泣くことでしか、私の生を知らしめる術はなかった。

やがて、体は完全に冷えきって、声も枯れ果て、目の前も真っ暗になった。

いつまでも聞こえ続けていた雨の音も、終には聞こえなくなった。





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3時間前に降り始めた雨は、止むどころかさらに強くなっていた。

「チッ。天気予報外れやがって」

午後から晴れる、何て言っていた朝のニュースを思い出して、故意に舌打ちをした。

ガチャッ

「おや? 出掛けるのかい? 外はどしゃ降りだよ」

「散歩。中にいるよりマシだ」

「そうか。風邪を引かないようにね」

バタン

外に出ると、雨の音は一層(やかま)しくなった。

さっき、誰かの泣き声が聞こえた。

この雨だ、何かの聞き間違えだろう。

他人にそう言えば絶対にそう返されるはずだ。

けど、確かに聞こえた。

音が邪魔で、傘も差さないで外を歩く。

「この辺りだよな」

たどり着いたのは近くの森。

目の前にあるのは所謂獣道。

自分の感覚を信じながら、その道を奥へ奥へと進んだ。

「いた」

そこで見つけたのは、毛布にくるまれた赤ん坊だった。

抱き上げると、ぐったりとしていて意識はなかった。

それどころか、この雨の中身に纏っているのは古ぼけた薄い毛布一枚。

こいつだ。

こいつがずっと、身の危険を知らせるために泣き続けていたんだ。

周りを見ても人気(ひとけ)はない。

恐らくこの赤ん坊は、捨て子だ。

「息はまだある。父さんに……頼むしかねぇな」

赤ん坊をしっかりと抱きかかえて、来た道を全力で走った。

雨はより一層強くなった。

ガチャンッ

「父さん!」

帰るなり真っ先に父さんの部屋に駆け込んだ。

「父さん、外にこいつが捨てられてた」

赤ん坊を見せると、父さんの顔が険しくなった。

「怪しからん輩がいるものだ」

「息はあるが意識がない。それにこのどしゃ降りの中、薄い毛布一枚しか着てなかった」

「!? 急いで医務室に連れていきなさい! そこにいる人にちゃんと説明するんだ」

「う、うん」

父さんの剣幕から、こ
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