暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第5章 契約
第79話 我が前に……
[5/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
散らされた。

 何らかの防御手段を持たない生きとし生ける物は存在する事さえ出来ない、ここは正に地獄。ここが異界化された空間で有るが故に、この状況が他の場所に被害が広がる事はない。しかし、ここで俺たちがこの召喚作業を阻止出来なければ、ハルケギニア世界に炎の邪神生きて居る炎クトゥグアが顕現し――――
 その瞬間に世界の命運は決する。

 神の畏れを纏い、神速で押し寄せる触手を躱し(瞬間移動)、 躱し(結界魔法)、 躱し(浄化魔法)
 上空。大体百メートル程度の高さにまで退避した俺を雷光の槍が貫き、押し寄せる熱風が全身を打つ。

 しかし、其処から遙か上空。高度三千メートル程度の位置に存在するマジャール侯爵麾下の飛竜騎士団が行使する大規模浄化術式の起動は、未だ確認出来ず。
 但し、俺やアリア。そして、シャルが囮と成り、少しずつでも結界円の構築を阻止しているのが功を奏して居るのか、周囲の邪炎の気配が強く成って居る雰囲気はない。
 これが、俺の感覚が麻痺して来ているのが理由ではなく、事実として邪炎の気配が広がっていないのなら――――

 ――――後少し、この状況を維持出来たのなら。
 そんな、かなり甘い考えが脳裏を過ぎった瞬間。

 正面、直下、そして背後から発生する猛烈な神威。

 マズイ!

 刹那、直下に発生した亀裂より発生した炎の触手は最早回避不能と判断。コイツに関しては貴重な物理攻撃反射で無効化。
 同時にありったけの龍気を籠めた一閃。勝利をもたらす光輝が閃き、前方やや下方から薙ぎ払おうとした三本の触手も僅かに逸らせる事に成功。
 但し、後方に関しては――――

 無理を承知の瞬間移動を行うか。但し、もし、その移動のタイムラグの際に攻撃を受けて仕舞った場合にはどう言う結果をもたらせるか判らないような危険な行為。
 そんな一瞬の迷い。失敗すれば最悪、次元の狭間に炎の触手と共に捕らえられ、この空間自体に計り知れない打撃を与える事と成る。
 しかし!

 今まさに周囲に神鳴りを撒き散らしながら、俺と言う存在を空間ごと消し去ろうとした炎の触手が不意にその方向を変え、虚空を薙ぎ払うに留まる。
 イオン化した大気が周囲に電子を振り撒き、神鳴りは周囲を、そして何より俺を打ちつけるが、それを起こす元凶が俺を捉える事はなかったのだ。
 そして、その一瞬の前に走った違和感。今夜、何度目に成るのか判らない世界が切り裂かれるような感覚。

 これは間違いない。

「何故、直ぐに私を呼ばなかった?」

 背中合わせに聞こえる不機嫌そうな少女の声。それに、先ほどまで感じて居たすべてを燃やし尽くす邪悪な炎とは違い、生命の存在を示す温かな炎の気配を感じる。

「簡単にオマエさんに頼るようなヤツを、オマエさん
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ