酒宴にて、彼と彼女は
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「おかえり、秋斗」
「秋斗殿、おかえりなさい」
「……ふん、おかえりください、バカ」
一人だけ違う言葉を発するへそ曲がりがいたが陣に着き、私の天幕に来た秋斗を皆で迎える。
「……ただいま」
目を丸くして驚いた後に少し苦笑して、でも心底楽しそうに言う。
机の上には簡易料理と数多の酒。
星が隠し持っていた分を全て吐き出させたら二つも机が埋まった。
「聞いてくれよ秋斗。星ったら酷いんだぞ?隠して持ってきてた分が多くてさ、この酒の八割がこいつのなんだ」
私が言うと申し訳ないというように肩を竦めてみせる。少しも反省するつもりはないだろうけど。
「相変わらず酒が好きだな、星は。そういえば牡丹とは初めて飲むが大丈夫なのか? こいつガキなのに」
「バカにしないでください! 私だってちゃんと飲めるんですよ!? それにガキってなんですか!」
食って掛かる牡丹をまあまあと手で抑え付けると一応大人しくはなったが未だに飛びかからんばかりの様子でいる。
「秋斗殿、牡丹はあまり強くないほうですがちゃんと飲めますよ。ただ……」
「ただ?」
途中で星が言葉を区切ってちらとこちらを見やった。私に言えと? 仕方ないな。
「酔いすぎると……素直になる」
「え? 私はいつも素直じゃないですか」
その発言に応える者は誰もいない。秋斗は不思議そうにこちらを見ていた。
「……まあいいか。とりあえず座ってもいいか?」
「あ、ああ、立たせたままですまない」
秋斗は私の対面に座って一つ息をつき、気を抜いた表情になった。
無茶を押した戦が終わって、桃香達とも真剣に話をして、さぞ疲れた事だろう。そんな当日に酒に誘った星も星だが応えた秋斗は何を考えている。
「さて、白蓮殿。お互い無事生き残ったことですし、酒もある。まずはすることがあるのでは?」
「おお、そうだな」
星の一言に皆何が言いたいか分かったのかそれぞれ杯を掲げる。
「では……皆の無事を祝って!」
皆で小杯の酒を飲み干す。きつい酒が疲れた身体に沁みる。やはりいいモノだな、こういうのは。
「ふぇ……きついお酒は苦手です」
「クク……やっぱりガキじゃないか。星、こっちの果実酒開けていいか?これなら牡丹も大丈夫だろ」
「構いませぬ。牡丹がそれを好きなので持ってまいりましたから」
「ぐぬぬ、ガキじゃないのに。そりゃあちょっと胸は……無いですけど。あ、星、わざわざ持ってきてくれてありがとうございます」
わいわいと話す三人を見て自然と頬が緩む。ああ、やっぱりこういうの好きだ。
「白蓮、酒が回りきる前に真剣な話をしたい」
全員に二杯目が注がれたのを確認して秋斗が言う。
「どうした?」
「酒がまずくなる話なんだが我慢してほしい……この戦の正確な情報をある筋から確認した。少し
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