酒宴にて、彼と彼女は
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場でとはいささか雰囲気が足りないが。
「茶化すな、星。申し訳ないが今回はここまでにしとくよ」
予想はしていたが断られるとさすがに少し気落ちした。
「またの機会に、という事で手を打ちましょう。酒の席も、閨も」
最後の一言に彼は大きくため息をついた。この鈍感男はどこまでも腹立たしい。
「最後のは看過できないが……ありがとう。ではまたな。二人にもよろしく言っておいてくれ」
そう言って彼は天幕を一人出て行く。私は追いかけることもしない。
一人の友が去った後に残ったのは自分の主と友の静かな寝息。
静寂が深まった心に寂寥感が込み上げて残った酒をグイと煽った。
追いかけたい衝動も共に飲み干せるようにと。
†
考えが足りなかった。
甘いぬるま湯に浸っていた。
覚悟を決めたと思っていた。
現実から目を逸らしていたのは誰か。
先の事を深く考えなかったのは誰か。
甘えた思考をしていたのは誰だったのか。
自分は甘すぎた。
こんなにも心が張り裂けそうではないか。
耳に未だに響く怨嗟の声。
目に未だに焼付く零れる涙。
心に未だに圧しかかる幾多の想い。
最後に一つ、誰もに言われるであろう言葉が継ぎ足される。
嘘つき、と
〜蛇足、酔っ払い牡丹ちゃん〜
酒が進むに連れて牡丹の顔色が真っ赤に染まった。これはいつもの事、だがここからが問題だった。
何を思ったのか急に立ち上がった牡丹はとてとてと秋斗殿に近づき……その膝の上に正対して腰を下ろす。
「ねぇ……私の事嫌いなんですか? だから私達の所に帰って来ないんですか?」
頬を撫で、上目使いで問いかける牡丹の奇襲に硬直してしまった秋斗殿は表現しがたい顔をしている。おもしろいのでこのまま放置しよう。少し、羨ましいが。白蓮殿はすでに机につっぷして眠りこけていた。
「ねぇ、秋斗。答えてください。私のことどう思ってるんですか?」
酔った牡丹の追撃は続く。早く何か言ってやらねば取り返しのつかない事になりますぞ。
「え……っと、その……」
「言いよどむって事はやっぱり嫌いなんですね!? 秋斗は私の事嫌いだったんですか! そんなの……うぅ……ふえぇ……うわぁぁぁん!」
ああ、やはり泣き出してしまった。
「いや、違う! 牡丹の事は好きだぞ!?」
いけませんな秋斗殿。その手も悪手。今の牡丹に対しては。
「ぐすっ……ホント?」
「本当だとも。だから泣くな」
「……えへへ、じゃあ帰って来てくれるんですね?そうしたら無茶なんかさせられずにずっと一緒にいれますし何より幸せです白蓮様と星と秋斗とずっと幽州を守っていくんです理不尽な侵略を全て跳ね除けて幽州を大陸一の場
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