酒宴にて、彼と彼女は
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戦、その後の乱世の事も考えて起こされたと言っても不思議ではありませぬ」
星と牡丹も納得したのか真剣な顔で思考を巡らせ始めた。
「此れよりは戦国乱世。どの諸侯も信頼できず、欲と野心渦巻く中で生き残らなければならない。
今回の戦の真実から予測するに欲しいモノが手に入らなかった袁家が次に狙う先は天下統一。河北三州の一部を手に持つ袁家がこれから先、領土を押し広げてから真っ先に狙うのは後背の憂いたる幽州だと考えるのが妥当だろ?」
なるほど、確かにその通りだ。麗羽は悪い奴じゃないが袁家は腐ってるからな。麗羽はあそこに生れ落ちてしまったのが最大の不幸だろう。バカにならなければやってられなかったのだから。
「……牡丹、星、先に言っておく。私は袁家には従わない」
二人を見て言うと強い瞳を携えてそれぞれが頷いた。
「嘘つきに大陸をやるわけにはいかない。義無きモノに屈する事は私の矜持に反するし、己が欲のために民を犠牲にするような奴等の仲間になんかなりたくもない。私の家が骨の髄まで搾り取られる事は目に見えているしな」
牡丹の顔がいつもの如く蕩け、星はというとにやりと不敵に笑った。
「……それでこそ我が主」
呟かれた一言に詰まった想いはどれほどのモノなのか。星から認められる度に、私の弱い心は歓喜と不安に包まれる。
「お前の期待に応えるのにはいつも必死だよ」
「安心なされよ。未だ脅威は去らず、時機はまだ遥か遠くに。幽州すら守れぬモノが、どうして大陸を救う事が出来ましょうか」
星の言葉に秋斗は不思議な顔をしていた。そういえばこいつは本当の事を知らないんだったな。
「ああ、秋斗。確かに星は私に、いや私の心の在り方に忠誠を誓ってくれた。だが幽州が安全だと判断できて大陸を救う事が出来る時機が来たなら、私の元を離れる事を約束しているんだ」
本当ならこの戦の後にでもお前の元へ行くはずだったんだが、とは言わないでおく。
「クク、相変わらずおもしろいなお前達は」
きっとこいつもわかっていたんじゃないかな。星が何を為したいかを。
「……大陸に真の平穏がやってきたら、私達の家に帰って来てのんびり暮らすと約束してください」
急に牡丹が真面目な顔をして話す。その瞳は涙で滲んでいた。
「できるならそうしたいな。じゃあ、俺からも。絶対に生き残ってくれ。白蓮達がいる限り幽州は、家はそこにあるんだから」
こちらを見る目には強い光が宿っていた。
「ああ、約束しよう。願いの通りだ」
そう言うと四人でそれぞれ杯を掲げ、合わせて中身を飲み干す。
「ふふ、大丈夫ですよ! 白蓮様はこの私が命に代えても守ります!」
フンス、と胸を張って言う牡丹に星が何故か吹き出した。
「……っ! 牡丹、クク……無い胸を張っても……虚しいだけだろうに」
自分のたわわな
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