暁 〜小説投稿サイト〜
乱世の確率事象改変
月詠に願いを憶う
[6/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
らに転んでも生き抜けるのが一番大事なのだから。
「賈駆、俺にはそんなに先は読めないよ。軍師じゃないし。ただ目の前に迫るモノくらいはわかる。袁家をどうにかしないと早いうちに俺達が潰されるだけだってことくらいは」
「袁家をどうにかするなら劉備軍だけじゃだめね」
 賈駆が厳しい目で俺を見つめる。董卓は隣で静かに話を聞いていた。
「まあな。とりあえず俺達がどうなるか決まってからでないと本格的には動けないが……先手を打とう。公孫賛を使って」
 俺の言葉に賈駆は絶句した。まるで汚いモノを見るかのような瞳で見つめてくる。董卓はと言うと落胆した目で俺を見ていた。
「何を驚く? 乱世を終わらせるための犠牲に友を賭けられないとでも?」
 白蓮を切り捨てる事も考えているが同時に助ける事も考えている……だからこの方法を使うんだ。心にのしかかるモノを無視して軽く言葉を繋げる。
「お前達を踏み台にした俺が甘い事を言う訳がないだろう? それに捉え違いをしているようだが俺達が生き残れてあいつも救えるならそれが最善なんだよ。少し注意を喚起するだけ。俺は袁紹包囲網を作りたいんだ」
 続けた俺の話の内容を聞いて、賈駆は知性の宿った瞳で思考にふけり、董卓はほっと息をつき安堵した表情になった。
 曹操、公孫賛、劉備による袁紹包囲網。もし徐州に配属されたならの話だが。その時できれば後背の袁術に孫策をぶつけたい。あれは呉の地を欲しているから交渉がしやすそうだ。
「そのために俺は今から公孫賛のもとへ話をしに行く。戦が終わったすぐの、各諸侯の意識が次に向きにくい今じゃないとだめだからな。今回の戦の真実を話し、今後の大陸の予想を伝えて、袁紹対策として曹操と盟を結ぶように言おうと思うが……元軍師である君ならどう思う?」
 できればあいつに生き残って欲しい。そうすれば蜀の地を踏まずして二国によって曹操と戦える。
 歴史通り蜀漢を立てることも出来るだろうけどこちらの方が効率がいい。袁家討伐後、曹操が先に退場するか、組み込むことができれば後の大きな敵は呉のみ。呉よりも曹操と早期に決着を着けておかなければ懸念事項がどんどんと増えて行くだけだ。それまでに桃香が大陸を呑み込む決意を固めてくれればいいが……。
「……確かに曹操と公孫賛が組むだけでも袁紹を打ち倒せる確率はかなり上がるわね。劉備軍がどこへ行こうとこの先袁家は邪魔になるだろうし、ボク達の身の安全の為にも早く退場してもらったほうがいい」
 そう、董卓たちにとってもこれが一番最適な道だろう。
「でも曹操が断ったら……見捨てるしか無いわよ?」
 何が、とは聞かなくてもわかる。袁紹に対して白蓮達だけでは負けの目が大きすぎると言う事も。
 その事態はずっと考えてきた。甘い思考のまま幽州で別れを告げ、彼女たちの行く末がどうなるかの絶望に気付
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ