月詠に願いを憶う
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何が三国志とちょっと違うというのか。
この世界は最初から異常だったんだ。情報を集めても、あまりに有名な将や為政者が少なすぎる。董卓軍には化け物武将が何人か足りなかった。
性別反転を無理やりそういうモノだと呑み込んだ後、一番初めの疑問は白蓮に対して起こったモノだった。公孫賛は野心家だったはずだ。なのにあいつは違う。温和で、徳溢れ、侵略を行うモノには容赦しないが自分から簒奪する事など考えない。
幽州にいる時に何度もお前のような公孫賛がいるか、と突っ込みかけた。
今の賈駆の言葉でずっと考えてきた事を確信できた。
この世界では幾人かの人物が統合、もしくは消去されている。例えば白蓮なら劉虞と合わさっている。
現代の知識のみではそんなモノのこれからなど予測のしようがない。
それに大局は変わらず、三国志の通りに進んで行くのならいいが、もしいくつかの戦までもが省略されているとしたらこちらも危うい。下手な手を打てば俺達が潰れる可能性が大きいのだから。
正直、徐州の州牧なんてこちらから願い下げだ。袁術、袁紹、曹操に囲まれて詰みの状態になる。さらに徐州に呂布が逃げていると内にも外にも敵がいる事になり完全に終わりだ。
先に袁紹と組んで官途で曹操と戦うという正史を少しいじった手もあるが、その後に肥大した袁家を潰す事が出来ないし呑みこまれるだけだろう。何よりも今回の戦の真実を知った桃香が袁紹と組むはずがない。
先に曹操と袁紹で戦をされると完全に終わる。そのあとの逃げ道がないし、無理やり逃げたとしても莫大な犠牲を伴ってしまう。予測では、最低でも半数の兵や将が脱落するだろう。重要な戦略地である荊州の様子も未だに分からないのが怖い。今は情報不足が一番の敵だな。
しかし……こんな状況でどうやって入蜀するのか。
非常事態に陥ったなら曹操に保護を申し出るか? ……無理だ。正論で叩き潰され、逃げ道を無くされて、去ろうとしたらあの楽しそうな笑みを浮かべながら俺達の何人かに自分の元に来いと言われるだけだ。多大な恩を押し付けられて逃げられなくなるのが目に見えている。何より一番先に桃香が切り捨てられるだろう。
どう動けば生き残れる。これからは降りかかる火の粉を払うだけじゃ生き残ることなんざできやしない。
自分から動かないと何も変わらない。ここで歴史を捻じ曲げるか? しかし選択を間違えれば滅亡、さらにある程度の先が読めるアドバンテージを放棄する事になる。
しかし現代の知識が自身の思考をここまで縛るとは思わなかった。一度視点を変えてみる、もしくは壊してしまうのも手かもしれない。
なら……ずっと考えてきた他の方法を使うのが最善か。
歴史に手を加えよう。切り捨てる覚悟はあるが保険は掛けておくべきだ。歴史通りでも、道筋から外れるにしても、どち
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