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乱世の確率事象改変
雛が見つけた境界線
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。私はこの人と一緒に世界を変えたい。そして平穏な世の中で……許されるのなら一緒に幸せを探したい。
 それに秋斗さんは桃香様が決断できると信じているのだから大丈夫。
 そこでふと思考に違和感を感じた。
 桃香様が決断できなかったらどうなる? 秋斗さんはその場合を考えないほど盲目だろうか。
 気付けば早かった。明確な答えに行き着いた。
 多分この人は今回最後の線を引いた。
 桃香様が決断できない時、その時が来たら全てが終わる。王としての決断ができなければ代わりに行い……ぬるま湯のようなこの場所を壊すんだろう。その後皆を引き込み進むのか、自分で立つのか、他の軍に行くのかは分からない。
 でもその時この人は耐えられるんだろうか。また同じだけ背負う事になって、罪深さがさらに深まって。
 そこで思考の端に自分の予測の影を見つけた。
 ……ダメだ。この人は、桃香様を信じる事で自分が壊れないように維持している。ならその時は……。
 事が起こった後を想像して胸が締め付けられたが度々言ってくれた言葉が胸に響き、頼ってくれたという事実が自分を後押しした。
 その時は私が支えよう。それが私に出来る事だ。この人が壊れてしまわないように私はなんでもしよう。
 覚悟を胸に決めたと同時に天幕内に兵が一人入ってきた。
「会議中失礼致します。公孫賛様がお見えになっております」

 †

 桃香の陣に着き、兵に案内され天幕に向かうとそこには懐かしい面子が揃っていた。
「急な訪問すまない。今回の戦、お疲れ様。桃香の軍は素晴らしい働きだったな」
 言うと彼女らの表情は、一人を除いて少し翳った。
「……どうした? 無事に生き残れたんだぞ? お前達らしくないじゃないか」
 疑問を口にするが帰ってくるのは無言の返答。本当にどうしたんだろうか。
「いろいろありまして。公孫賛様もお疲れ様です。すぐに気が利かず申し訳ありません、こちらにお座り下さい。すぐに茶の準備を致しますので」
 公式の場と取ったのか秋斗はむず痒い口調で話してから立ち上がりお茶を淹れはじめた。
「……はぁ。秋斗、その言葉づかいやめていいぞ。今回は個人的に、桃香の友人として話をしに来たんだ」
 秋斗は何か考えるように、手は動かしながらも首を少しだけ傾げた。
「わかった。しかし白蓮がわざわざ俺達の陣まで脚を運んでくれたんだ。何かあったのかと思ってな」
 背中越しに喉を鳴らし苦笑しているのが分かる。
「ふふ、まあそう取られてもおかしくないか。……おっと、ありがとう」
 普段通りの秋斗の口調に少し安心を感じてこちらもつい苦笑が漏れた。
 淹れ終わり、こちらに差し出されたお茶を受け取り一口飲む。
 懐かしい。これは店長の店のお茶じゃないか。持ってきてたのか。
 私にしてやったりというように
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