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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十三話 フェザーン謀略戦(その5)
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すからね」
レムシャイド伯が何度か頷いていたが顔を俺に向けると妙な眼で俺を見た。

「しかし、卿、それを何処で知った?」
「……さあ、随分と昔の事なので覚えていませんよ」
「ふむ、答えたくないと言う事か」
今度は納得したような表情をしている。思わず苦笑が漏れた。

「レムシャイド伯、彼らには伯から命じてください」
「分かった」
「シェーンコップ准将、彼らの拘束を解いてください」
「はっ」

全てを終え、部屋を出たのは十一時二十八分だった。



宇宙暦 795年 9月16日    フェザーン  ミハマ・サアヤ



「どうも目障りですな」
シェーンコップ准将の声と口調は不機嫌そのものでしたが提督は気にすることもなくシートに座っていました。チラッと准将を見ます。

「攻撃はしてこないのでしょう」
「まあ、そうです。しかし気持ちの良いものではありません。尾行(つけ)られる事も見下ろされることも」
「仕方ないでしょう、ルビンスキーを攫われたのですから向こうも必死です」

思わず溜息が出ました。他人事みたいな口調ですがルビンスキーを攫った首謀者は他でもないヴァレンシュタイン提督です。今の話を相手が聞いたら頭から湯気を立てて怒るでしょう。でも提督の事です、“何で怒るの”とか平然と訊きそう……。可哀想に……。

私達は今宇宙港に向かっています。私達が宇宙港から乗ってきた五台の地上車の他ヴィオラ大佐が地下の駐車場に用意した五台の地上車、合わせて十台の地上車が宇宙港に向かって疾走している。まるで映画のようです。知らない人が見たら映画の撮影でもしてるのかと勘違いするでしょう。何事も無ければ後三十分程で宇宙港に着くはずです。

当然ですが全車地上交通管制センターのコントロールをカットして手動運転です。法定制限速度なんて無視、周りの地上車を弾き飛ばすような勢いで十台の車が爆走しています。そんな私達に周囲の車は逃げるように道を譲るのです、凄い快感! 私、段々物騒な女になりそう……。

先頭車はデア・デッケン少佐が乗車しています。そして最後尾はリンツ中佐、私達はその手前にいます。ちなみにレムシャイド伯爵はヴィオラ大佐と共に私達の前の地上車にいます。そしてそんな私達を警察のヘリが上空から監視している……。

シェーンコップ准将が目障りと言ったのはこのヘリの事です。もっともヘリは必要以上に近づきませんし攻撃もしてきません。私達が危険だと分かっているのでしょう。既にフェザーンの警察は嫌というほど痛い目に遭っています。

最初に私達を追ってきたのは警察のパトカーです。しつこく追ってくるパトカーをリンツ中佐がロケットランチャーで破壊しました。酷かったです、破壊されたパトカーに後続のパトカーが突っ込みたちまち二重、三重の
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