Introduction
第十一話 紫苑と紫音
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もしれんがIS学園にいる以上は手出しはさせん」
「確かにそれは可能かもしれないけど、現実的じゃないよね。あまりに多くの人に迷惑がかかるし……それにまだ僕は父さんの真意がわからない。それも確かめたい」
それに紫音のことも……。
「そうか、ならこのまま今まで通りだな。だが、注意しろ。正直、西園寺家が何を考えているのかわからん。今後、何かしらの干渉がある可能性もある。お前の実家のことを私がとやかく言う立場ではないが、一応な」
「うん、わかった。ありがとう」
ふと、思った。千冬さんは何で僕のことをここまで面倒見てくれるのだろう。束さんを通して出会ってから少なからず交流はあったけど、それでも束さんに比べれば僅かだ。束さんから頼まれたというのもあるかもしれないけど、それだけでこんな危ない橋を渡る理由になるのだろうか。
……考えてもわからない。どうせ今の僕には彼女の好意に甘えるしかないんだから。でも、いつか恩は返したと心から思う。
さて、最後に一番厄介な束さんが残った……んだけど。正直どういう反応されるか予想がつかないからなぁ。とりあえず連絡してみよう。
『はい、こちら束様の研究所。というよりここに連絡できる方は限られているのですがどちら様でしょうか』
……ん? 束さんではない? 聞いたことのない声だ。ずっと一人で潜伏しているのだと思っていたのだけど違うのだろうか。
『あの?』
「あ、ごめんなさい。えっと、西園寺といいます。束さ『しーちゃーん!』ん?」
覚悟していた以上の予想外の出来事に呆けていたら、相手がこちらを訝しむような声をあげる。引き戻された僕は慌てて名前と用件を伝えようとしたら聞きなれた声が割り込んできた。
「束さん? さっきの人は?」
「今のはくーちゃんだよ?」
「くーちゃん?」
自分の用件より、先ほどの未知の人物に興味を持ってしまった僕は思わず束さんに尋ねるものの、出てきた名前はやはり知らないものだった。これが束さん以外なら僕もそれほど気にしないのだけど、なんたってあの束さんだ。身内と一部の人間……というか僕と千冬さん以外と話しているところを見たことがない。千冬さんによると、千冬さんの弟さんともしっかりと話はするらしい。
つまり、それ以外の新たに束さんのテリトリーに踏み込んだ存在、ということになる。最初は束さんの妹さんかとも思ったけどそれにしては変だったし、たしか箒さんという名前だったはずだ。くーちゃんとは呼びようがない。
「うん、くーちゃんはくーちゃんだよ!」
相変わらずよくわからない。でもこのままでは話が進まないのでまずは自分の用件を終わらせよう。その、くーちゃんという人について興味は尽きないけど、また後日でもいいし機会があれば会うのもいい
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