Introduction
第十一話 紫苑と紫音
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
のマイペースだ。フォルテさんは僕があげたプリンを幸せそうな顔で必死に食べている。
「ふふ……フォルテさん、ありがとう」
そんなフォルテさんの様子やみんなとのやり取りを見ていたらいつの間にか朝の暗鬱とした気分がさらに晴れていた。やっぱり紫音のことは簡単に整理なんてつかないけど、やっぱり今の自分の居場所はここしかないのかもしれない。
「ん……何か言ったッスか?」
「いえ、なんでもないですよ」
だから、僕は決めた。この学園生活を続けることを。そのためには千冬さんにも事情を話さないと。まだ楯無さんにバレたことも知らせていない。あとは束さんだね。西園寺の動向も片手間とはいえ調べていたみたいだから何か知っているかもしれない。
「ん、朝よりよっぽどいい顔になったわね」
「やっぱり、さっきまで顔に出てました?」
「いつも通りとは言えない程度にね、ちょっとは吹っ切れたのかしら」
「そう……だね。みんなのおかげかな」
「そ、なら私もフォルテちゃんをお説教した甲斐があったわ」
「それはどうかと……」
相変わらずどこまで本気なのかよくわからない楯無さんの言葉に僕は苦笑いするしかなかった。
朝食が済み、みんなと別れた後に僕は千冬さんのところに向かう。
「……なんだと?」
楯無さんのことも含めて、全て話したところ予想通りというかちょっと怒った……というより呆れた感じで返された。
「はぁ、まったく。前にも言ったが少しは頼れ。今回は……まぁどういう意図か知らんが更識が協力的だからよかったが。何かあったとき私は知らなかったでは居た堪れないぞ。そんなに私は信用ないか?」
「いや、そんなことは……」
確かに、黙っていたのは良くなかったかもしれない。千冬さんが僕が男であることを認識している以上、悪い言い方をすれば千冬さんは共犯者でもある。もし僕の存在が公になれば、もちろん学園へ紫音として通っている云々の件もあるけどそれ以上に初の男性操縦者を隠匿したということで下手したら世界中から罪を問われる。
今さらながらにその事実に気づき、僕は自己嫌悪に陥る。よくよく考えたら、いや僕の考えが足りなかっただけなんだけど、今の僕に関わった時点で千冬さんにはこれ以上ない迷惑をかけてしまっている。今更心配をかけたくないなんてどの口が言えるのだろう……。
「ごめんなさい」
ならもう少し僕は人に……千冬さんに甘えてもいいのかな。
「ふん、分かればいい。子供が大人に変な気を遣うもんじゃない。それで、今後はどうするんだ? たとえお前の家が何と言おうとお前自身にその気がなければどうとでもなる。最悪、男性操縦者ということを明かし、紫音の弟として再入学することも……まぁ、可能だろう。西園寺家が何か言ってくるか
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ