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IS<インフィニット・ストラトス> ―偽りの空―
Introduction
第七話 更識楯無
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の地獄絵図ッスか、これは」

 紫苑の正体発覚から数日、特に楯無からのアクションもなく何事もなかったかのように今まで通りの日常が過ぎ、今はクラス対抗戦当日。眼下で巻き起こる光景に思わずフォルテはそう漏らす。同じようにアリーナ内で観戦する他の者はほとんど言葉も出ないといった状態で、ただ辺りには爆音や破裂音のみが響き渡る。

 前代未聞の全クラス同時戦闘によるバトルロイヤルという形式で行われたクラス対抗戦。
 大方の予想通り、試合開始と同時にほぼ全員が紫苑に向かっていった。各クラス代表は専用機こそないが多くが何処かの国の代表候補生である。当然、紫苑は相当な苦戦が強いられると思われた。

 しかし蓋を開けてみれば、紫苑の圧勝だった。というよりほとんど彼は何もしていない。満足に連携など取れず、ましてや敵同士である他の面々。まともに一人を狙って攻撃などできるはずがなかった。
 持ち前の相手を幻惑するブーストで攪乱しながらただ攻撃を回避するだけで、自然にそれらの攻撃は自分に殺到する他の敵機に当たる。そもそもいくら同時に戦えるといっても、せいぜい四方向+空中戦なら上下の計6人が限界だが、実際にそんな状態で連携も取れずに突っ込めばどうなるか、それは火をみるより明らかだ。

 結果、ほとんどが自滅した。
 ちなみに薫子は真っ先に意気揚揚と突っ込んできたが、その場所が他者の砲撃の軌道上で脱落の一番手となった。最後まで残ったのが、うまく他者の動きを把握しながら的確に紫苑の動きの隙を狙おうとしてきた4組の代表サラ・ウェルキンだった。だが、そのサラも他の者が全員撃ち落とされ一対一になった状態ではどうしようもなく、あっさりと撃墜されてしまう。

 紫苑と楯無(敢えて言えば千冬も)はこのルールが告げられた時点で既に試合展開がこうなることはある程度想定しており、その際に落ち着いていたのはそういう訳で、むしろこんなルールにしてしまった学園側に対して若干呆れていたのが実際のところだった。

 こうしてルール改訂が無意味だったことを学園側も悟り、以後このルールが使われることは二度と無かった。
 


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