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パンデミック
第三十九話「化け物への一歩」
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ーーー本部防衛作戦開始から4時間


ーーー【エクスカリバー本部・第1装甲壁内】


「あ〜あ、第1の壁もう少しで陥落するってのに……懲りずにまだ抵抗続けんの?」

第1装甲壁内に残っている兵士達を前に、レオは余裕の笑みを浮かべる。
既に何人もの兵士が、レオの"硬化能力"で武器を叩き折られている。
武器の無い状態で、しかも相手は適合者。勝つ見込みなど、無いに等しい。

「クッソ!なんなんだよ!?アイツは!?」

「なんで刃が通らねぇ!?」

兵士達に最早、抵抗するほどの気力は残されていなかった。
攻撃は硬化で弾かれる。そのうえ、硬化を利用した攻撃は防げるような威力ではない。



「なんか、つまらないというか……退屈というか……勝ち目無いのに頑張るねぇ〜」

余裕の表情を崩さずに、兵士達を挑発する。



しかし、レオの余裕は、あっという間に崩れた。









後ろから気配を感じた。後ろには第2装甲壁のゲートがある。

兵士の誰かが攻撃を仕掛けてきたと思ったが、その可能性はすぐに消えた。
その気配が自分に向かってくる速度があまりにも速い。

レオは、その気配の正体に気付いた。

「うぉ!?」


レオは咄嗟に両腕を硬化し、防御体制に入った。



ブランクが化け物のような叫びを上げながら、レオに迫ってきた。


「ガァァァァァァァァァァ!!」


様子が変だと一目で分かった。
走り方と眼が、まるで獲物を見つけた感染者のようだった。


ギィィィン!!


とてつもない速さから繰り出された右ストレートは、硬化した両腕で防がれた。
しかし………


バキバキバキッ


硬化した皮膚が、音を立てて壊された。
強引に皮膚を破壊され、威力が相殺されないまま吹き飛ばされた。

「ぅおあぁぁぁぁ!?」


レオが何より驚いたのは、硬化を破壊した威力。
今まで硬化を破壊されたことなど、ただの一度も無い。まして、皮膚まで破壊されるなど初めてだった。

硬化した皮膚がガラスのように割れ、皮膚の下の筋肉が、赤黒い血とともに露出していた。

「クッソ痛ぇ……アンタ強かったけど、ここまでじゃなかったろ?」

ブランクは何も答えない。
しかし、口はずっと動いている。肝心の声は聞こえないが。

「なぁ、聞いてる?」

少し不機嫌な表情を浮かべた。
その間も、ブランクはどこを見ているか分からない眼で、ぶつぶつと何かを呟いている。
レオは、その口の動きをじっと見つめた。

ようやく、何と言っているかが理解できた。
















ーーーーーーーー殺して
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