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乱世の確率事象改変
彼の救い
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もないが白蓮殿がここまで騒ぐのはおかしい。
「こちらも取り乱してしまい申し訳ありませんでした白蓮殿。重ねて非礼をお許し頂けるのなら……申し訳ないのですが今日の夜にでも劉備殿の所へ伺いを立てて頂きたい」
「気にするな星。私も桃香に大事な話がある。ただし一人で行く。お前は牡丹を連れて秋斗と話して来い」
 この方なりの気遣いなのだろう。
 きっと私は劉備殿の前に立つと苛立ちを隠せなくなる。たとえ白蓮殿と共に居たとしても。
 個人の感情は割り切ったなどと……笑わせる。
 こんなにも焦燥に駆られてしまっているではないか。
 牡丹を共につけてくれるのは客観的に物事を判断できるようにするためか。どちらかが熱くなればどちらかが冷静になれる。確かに私と牡丹はそんな関係だから落ち着けるだろう。
「白蓮殿。できれば劉備殿から話を聞いた後、雛里に詳細を聞くがよろしいかと。あの子が一番秋斗殿に近く、彼の事を考えているのですから」
「鳳統に? ……ああ、そういう事か。確かに止めないのはおかしいな」
 そう考えるとおかしい。何故雛里が止めなかった。いや、止められなかったのか。
「星、多分な。これは誰も間違っちゃいない。だけどあいつらは全員大切な事に気付いちゃいない」
 謎かけのような言葉の意味はあやふやで、それでいて難しいモノだった。
「それはどういう――――」
「責任と感情、調和と争い。まあ、詳細が分からないとどうだかは分からないんだけどな」
 苦笑しながら告げる彼女の顔は凛々しく、それでいて優しいものだった。
「一応教えとくよ。あいつらはな――――」
 その答えは単純で、くだらなくも大切な事だった。
 確かにそれは私達の軍ならば明らかな異常事態だ。
 しかし……秋斗殿に対しては自分が行う前に雛里にその役目を取られるやもしれんな。
 それは少し悔しい。二番目だとしても、私もたまには素直になってみようか。
 そんな事を考えながら、白蓮殿と共に自分達の陣に一旦戻る事にした。

 †

 負けを悟って街で暴徒と化した兵達や、それに乗じて獣に堕ちたモノ達の制圧はほぼ完了に向かっていた。
 しかし都での火災は家から家へと伝播し、その勢いは恐ろしく、轟々と燃える火は未だにそこかしこで消えきらずにあった。
 徐晃隊と曹操軍と共に忙しく救援と避難活動を行っている私達の元に思春が報告にやってきた。
「冥琳様達本隊も洛陽に入ったようです。その後に続くように曹操も」
「そう、報告ありがと。じゃあとりあえず民達の中から長老格の人を探してきてくれる?」
「はっ」
 言うが早く目の前から姿を消し、民の集合避難場所に向かう。
 しかし驚いた。徐晃隊の避難誘導は的確で、決して乱れる事無く、それでいてあまりに迅速だったから。人々を慰撫する兵達一人ひとりが暖
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