火燃ゆる都に月は沈む
[4/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
る程度予想が着くからこそ。
正義と信じて疑わなかった彼女達は責任を持ってしまった事で自分達が正義であるという前提が崩壊すると理想を迷ってしまう。
その程度なんだというのか、予想される策の全てを話さない事は間違っている、と言われるだろう。
だが私達の軍にとっては恐ろしい事態になる。
正義がこちらになく、知らなかったとはいえ自分の都合で理不尽を行ってしまった。
あの人は再三こちらに忠告していたのにそれを見ない振りをして貫き通してしまった。
秋斗さんが最初から参加を渋っていたのはこの事態になる事を避けたかったから。もしくはそれを知って尚進む覚悟を持ってほしかったから。
掲げた理想は敵が善だった時点で脆くも崩れ去る。桃香様達はその時自身の矛盾に潰れてしまう。
一番酷いのは……耐えたとしても秋斗さんと桃香様が真っ向から対立してしまう事。全てを話した上で彼は殺した善人の屍を越えて進めと言ってしまう。いや、言わざるをえない。あの人の目指す先には絶対に必要な事だから。
二人は一度対立してしまうともう共にはいられない。無理に共に居ても軍が瓦解する要因となってしまうし、戦を終えて帰ってから時間が経つと平原の民に不安や猜疑心が芽生えてしまう。
だからこそ秋斗さんは言葉を呑みこんで耐え、桃香様の成長を助けている。自分自身が悪を肯定して桃香様の理想を守っている。
騙していると言われればそうだ。しかし戦の最中の今、話してしまう事ではない。
だけど私にだけは話してくれた。
私は桃香様達と比べてどうか。
敵が善だろうと悪だろうと力を行使する事に違いはないと割り切ってしまっている。乱世を上り詰める為に必要な事だと覚悟が出来ている。どれほど敵が民から慕われていようとも治世の平穏のためならば踏み台にすることを躊躇ったりしない。
心が痛もうとも、涙が溢れようとも。
秋斗さんがずっと予防線を張ってくれていたから、虎牢関の後にあの人自身の願いを教えてくれたから、あの人の願いの為に戦いたいと思ったから潰れなかった。
今までの世界の継続ではまた乱世が来てしまう事を理解した私は世界を変える手助けをする事を心に誓った。
私だけに真実の可能性を指摘してくれたのは頼ってくれたからだ。本当の意味で平穏のために並び立って戦っていける相手だと認めてくれた。
話さないのは覚悟を決めた軍師の私に失礼だ、と彼は言ってくれた。
その上で自分はどうするべきが最善かと聞いてきた。
先に反対した。乱世を上るのに不可欠な行動ではあるし語った参加理由を示す為に必要だが矛盾してでも耐えるべきだと。
ここで無茶を行うことで徐公明という劉備軍にとっての支柱を万が一にも失うようなことはあってはならない。何よりあの人自身の願いを潰えさせるわけにはいかなかった。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ