火燃ゆる都に月は沈む
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任せてもう一人を追ってほしいの!」
横道を抜けてきつつ放たれた于禁のその言葉を聞き、頷きもせずに最初に見た相手を追いかけはじめていた徐晃隊の後を追って走り出す。
徐晃隊を抜き去ったが敵も意外と足が速く、さらに入り組んだ路地を右往左往するため中々追いつききれなかった。
走りながら考える。
民ならば于禁が追いかけろとは言わない。俺達連合の兵を見て逃げる事もないはずだ。つまり獣に堕ちたモノなわけだな。
その時相手は突然抱えていた少女を投げ捨て、先ほどより速く逃げ出した。放っておくわけにもいかず近づいて確認するがどうやら少女は気絶しているらしい。
もう逃げた相手の姿は見えず、そこでようやく疑問が起こる。
何故今までこの抱えていた少女を放さなかったんだ?
少女の服装を確認すると文官がよく着ているモノに似ていた。
思考が頭の中で弾け、一つの過程が思い浮かんだ。
急いで自分の羽織を掛け、その服を覆い隠して抱き上げる。
遅れてやってきた徐晃隊に于禁がその後どうしたか確認を取ると、他の徐晃隊が民の救援場所まで連れて行くと言い、それに従ってもう一人の子もこちらに渡してくれたらしい。
転ばせた奴も上手く逃げたらしく追いかけたが捕まえられなかったとのこと。
「その子は救援場所まで連れて行くな。姿が他の目に触れないようにし、戦の様子を見て劉備軍本陣まで連行しろ」
俺の真剣な表情に事の重大さを見たのか報告を行ってくれた兵は短く返事を返し全速力で駆けて行った。
于禁が気付かなくてよかった。
二人の内どちらかが賈駆だ。さっきの奴らは獣ではなく火を放った奴等だな。生贄のために董卓と賈駆を探していたんだろう。
それで仲間の軍師か文官かを連れて逃げている途中の賈駆を見つけ連行しようとしたわけか。
あいつらが最後まで放そうとしなかったこの子のほうが賈駆である確立は高いな。
そう考えながら銀髪の少女の頭を少し撫でつけた。
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