第一章 護れなかった少年
第二十一話 閉鎖空間
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とっさにバックステップするものの避けきれず、お腹を切り裂かれる。
「うぁっ!!」
そのまま着地できず、肩からズサァッと床に突っ込んでしまう。
とっさにHPを確認すると、すでに赤に入っており、左上隅にちょこん、と残っているだけだった。
(あのままだったら死んでた......)
その事実に少し寒気が走り、体がブルッと震える。
すぐに回復結晶を取り出し、「治癒!!」とワードを唱える。
と、手に持っていた回復結晶が砕け散り、かわりに僕のHPが全回復する。
と、ネオンがペタン、と座り込んでしまう。
「どうしたのネオン!?」
怒鳴るような大声で言う。
返事で帰ってきたのはあんなに僕を引っ張り回していた女の子とは思えないほどのか細い声。
「扉が......扉が開かない......!!」
「転移結晶は!?」
すると、ネオンが既に手に持っていた転移結晶を掲げて力の無い声で「転移......摩天楼」とワードを言う。
本来ならここで結晶が砕け散り、ネオンは《摩天楼》に転移される筈なのだが......。
何も起こらない。
声の大きさなどは特に関係は無いので、起こらないとおかしいのに。
(《結晶無効化空間》......? いや、《閉鎖空間》だ!!)
閉鎖空間とは、結晶無効化空間に次ぐ、嫌な罠だ。
具体的には、その部屋から出られなくなる罠。転移結晶を使っても一緒だ。
ただ、違うのは、回復結晶などは使用可能、と言うこと。
そして解除方法は......中の奴を倒すしか無い。
この場合、シャドウを。この二人で。
とんでもない無理ゲーだが、実際それしか助かる方法はない。
だから。
「ネオン!!」
シャドウに斬りかかりながら声を張り上げる。
「いつまで凹んでるの!! まだ生き残る可能性はあるよ!!」
「......でも......私のせいで!!」
自分を責めるような声に更にこっちも叫ぶ。
「もし自分を責めてるならお門違いだよ!!そんな考え今すぐに捨てて!! ここに来たのは僕自身の意思なんだ!! 別にネオンに強制された訳じゃ無い!!」
瞬間、目の前のシャドウが地面に潜る。
通常の斬撃を数回お見舞いするが止まらない。
そのままシャドウは僕の目の前から消えてしまう。
......まぁ、行き先なら予想できるけど。
ネオンの目の前までダッシュする。
「やっぱり、やっぱり無理だよ!! 死んじゃうよ......!」
瞬間的に納刀して刀スキル《瞬》を発動、ネオンの目の前に出てきたシャドウの剣に向かって突っ込む。
そしてスキルの発動しながら、精一杯声を張り上げる。
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