第四十六話 少年期【29】
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長いようで短かった日々。俺の新しい人生が始まった日から思い起こすと、そんな風に俺は感じてしまう。
この世界に生を受けてから、俺はたくさんの出会いを経験した。大切な家族や、笑いあえる友人、頼りになる人たちに出会うことができた。そんな多くの人たちに助けられながら、支えられながら俺は生きてこれた。最初は困惑だらけで、不安に思っていた世界を、こんなにも楽しく過ごせるのは、間違いなくみんなのおかげだと思う。
俺を兄と慕ってくれる妹、いっぱいに愛情を注いでくれる母親、心配になるけど頼りになる父親、誰よりも一緒にいてくれるデバイスに、ツンデレな好敵手である猫。
ふざけあえる友人たちや、仕事と趣味に一直線な上司たち、賑やかな開発グループのみんなに、学校で出会った先輩や先生、這い寄る混沌を地で行くちきゅうやとその関係者、……他にもいっぱいいるんだけど、なんか色々濃すぎないか。いや、まぁいい人たちではあるよね、たぶん、おそらく…。
そんな風に今まで出会ってきた彼らを思い浮かべながら、俺は改めて感じることがある。単純に、みんなに出会えて本当によかったって。本来ならこの世界にいないはずの俺が、……1人ぼっちじゃないんだと思えるのは、みんながいてくれたから。みんなと築いた「繋がり」がちゃんとあるって実感できるからだ。
だからこそ、これからも大切にしたいと俺は心から思えた。
「アルヴィン、アリシア。お誕生日おめでとう」
『おめでとうございます、お二人とも』
『ふむ、長い言葉などこの場では不要だな。2人の生誕に感謝と祝賀を』
「にゃう!」
家族みんなからのお祝いの言葉と―――
「いくぞ、みんな……せーのッ!」
『お誕生日おめでとー!』
パン、パパン! と友人たちが手に持っていたクラッカーの音が部屋中に響き渡った。いつも学校で一緒にいるメンバーだけでなく、クイントやメガーヌ、エイカも今日は来てくれた。身内と友人だけの小さなパーティーだけど、やはり嬉しく、でも少し気恥ずかしくて顔に赤みが出てしまった。
「……ありがとう、みんな」
「えへへへ、ありがとう」
アリシアと一緒に小さく笑いながらも、用意してくれていた誕生日ケーキにささっているろうそくの火を吹き消す。それにみんなから拍手が起こり、今度は自然にお互いの顔に笑みが浮かんでしまった。
この世界に俺とアリシアが生まれてから8度目の日。俺たちは今日、8歳の誕生日を迎えました。
******
「おぉ、お菓子がいっぱいだな」
「ふふ、すごいでしょ。私たち女の子組で、2人のために頑張って用意したのよ」
誕生日会場である我が家のリビング。そのテーブルの上には、ケーキと一緒にクッキーやドーナツ、マドレーヌ
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