第四十六話 少年期【29】
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に首を傾げると、うさぎっ娘も真似して首を傾げている。……かわいいな、お前ら。
それにしても、まずは名前だ。母さんはどうやら俺たちに任せる気のようだし、アリシアと一緒に考えるかな。友人たちも名前決めに興味津々のようだ。せっかくなら、良い名前をつけてあげたいよな。
「そうだな、どうしようか。アリシアが名前を決めるか?」
「うーん。……あっ、そうだ! お兄ちゃんが付けてあげてよ。私、前にリニスの名前を決めたことがあるから順番交代!」
『エッ…』
俺だけでなく、母さんと妹たちを除くこの場にいる全員が声をあげた。というか、お前らどんだけ絶句しているんだよ。どんだけ俺のネーミングセンスに絶望しているんだよ。ここまで信用がないと、逆に冷静になってきましたよ。
俺としても、まさかの譲り合い精神が、ここで発揮されるとは思っていなかった。だけど、ここまでお膳立てをされたのなら俺だって真剣に考えるさ。……必死に俺を止めてくる友人共など今はいない。
「えっと、女の子の名前だよな。和名は合わないだろうからNGだろ。そうなると、俺が知っている英名でいうと、クミ、エミリー、アン、ミセスグリーン、……違う、これは英語の教科書だ」
「ど、どうしよう。果てしなく不安になってくるんだけど」
「僕は最初から最後まで不安しかない」
「……うん、不安だらけ」
ランディは気絶しているからいいけど、男子陣がさっきから本当にうるさいんだけど。あと、リトス。お前は珍しく声を出したと思ったら、どれだけ不安なんだよ。
「いや、ここは言葉とか見た目から入るべきか。うさぎだから月、餅、団子…。食い物? そういえば髪と目が栗色だから、マロンとかか? いや安直だからモンブラン、でも俺はグラッセの方が好きだし…」
「完全に名前から離れていっているぞ」
エイカさん、自分でもちょっとわかっています。ちくしょう、名前って難しすぎる。このままだと、アリシアを説得しに行った女子陣が帰ってきてしまう。アリシアが考えた名前でもいいんだけど、兄として、候補になる名前の1つぐらいはあげておきたい。妹のために、そして俺のネーミングセンスの名誉のためにも!
「そうだ、もっとシンプルに考えよう」
名前とは、要は願いと一緒なんだ。この子がどんな子に育ってほしいのか、この子は俺たちにとってどんな存在なのか。
俺はこの子には幸せに生きてほしい。幸せなんて人それぞれだけど、俺はこの子にたくさんの世界を見せてあげたい。俺がこの世界で1人ぼっちだと思わないでいられたように、幸せだと感じられるように。そんな未来への願いを込めた名前を、俺は付けてあげたい。
これからの道を、家族や友人、たくさんの人たちと歩いて行ける……支え合っていけるように。
「……
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