第四十六話 少年期【29】
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」
「本当!」
妹は嬉しそうに俺から荷物を受け取る。俺もアリシアと一緒に、中身を開けることにする。丁寧に袋についているリボンを解き、ガサガサとプレゼントを取り出した。
「うわぁ、ねこさんのぬいぐるみだ!」
「色違いだから、白がアリシアで、黒が俺かな。おっ、魔法の専門書に……理数の参考書か。そうか、理数か…」
「あの人らしい選択ね」
母さんが口元に笑みを浮かべながら、送られてきたプレゼントを眺めている。アリシアはギュッとぬいぐるみを抱きしめ、早速名前を付けているらしい。妹はこのプレゼントを送ってきてくれた人物のことを、おそらく覚えていないだろう。それでも、毎年もらうプレゼントと手紙を楽しみにしていた。
本来の母さんと……父さんの関係がどうなっていたのかはわからない。俺がある意味父さんを引き留めたことで、直接会うことはなくても、こうやって小さな繋がりは続いていた。
ぬいぐるみの首元にそれぞれメッセージカードが付けられており、そこには2、3行のお祝いの言葉。きっとどんな言葉を贈ろうか、すごく悩んで書いたんだろうな。最後に袋の中に手紙が1通だけ入っていたので、それは母さんに渡しておく。困ったように、でも照れくさそうに母さんは父さんの手紙を受け取っていた。
「さて、アルヴィン、アリシア。今年はお母さんから2人に素敵な贈り物があります」
みんなでケーキを食べ終わり、それぞれおしゃべりをしながらの休憩タイム時。そこに母さんが、俺たちに向けてそんな言葉をかけてきた。そういえば、今年は欲しいものとかは、特に話していなかったな。妹と顔を見合わせると、向こうも不思議そうな顔をしていた。
コーラルは知っているかな、と思って周りを見回してみると、緑の球体が部屋の中にいないことに気づく。俺は目を見開き、もう一度見渡すとコーラルと一緒にリニスの姿もなかった。……あいつら、いつの間にいなくなっていたんだ。
「素敵なもの?」
「ふふ、そうね。ヒントはずっと欲しがっていたものかしら」
母さんは目を細め、俺たちの様子に笑みを浮かべている。困惑しながらも、妹は母さんのヒントから記憶を辿っているようだ。俺も考えるが、やはり答えは出てこない。
友人たちはそんな家族の様子を静かに見つめている。少し視線を彷徨わせていた俺と目が合うと、エイカが無言でシッシッと手を振ってきた。そっちに集中しとけ、ということらしい。友人たちの配慮に感謝しながら、俺は母さんの方に目を向けることにした。
「むー。お母さん、もうちょっとだけヒントをちょうだい」
お願い、というように胸の前で手を合わせるアリシア。俺もわからないので、素直にヒントをもらうためにアリシアと同じく手を合わせた。
「そうね…。アルヴィンもアリシ
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