第四十六話 少年期【29】
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ぁ、今現在やっていることが闇の書について調べているだけだし仕方ないか。戦闘経験なんて、それこそ猫とか金魚ぐらいだ。地球では考えられないような相手だし、さすがは次元世界だな。
……正直に言えば、今でもこんな風に笑いあえることに俺は感慨深くなる。生まれた時からずっと、ヒュードラの事故が俺の頭の中にあった。それを乗り越えた後はずっと先のやるべきこと以外、未来を想像するなんて俺にはできなかったんだ。
だけどあの日から、本当に何もかもが変わった。家族だけが世界の中心だった5歳の頃までと違う、大きく開けた新しい世界。お姉さんから魔導師としての心得を教えてもらった。闇の書の手掛かりを探すために無限書庫を冒険した。エイカやみんなと友達になった。クラナガンに引っ越して、学校にも通うことになった。知らないことをたくさん知って、経験することができた。
窓の外から2人で駆動炉を眺め続けた日々が、今では遠い過去のように感じてしまう。俺の隣でおいしそうにケーキを頬張りながら、元気に笑う妹。アリシア・テスタロッサが8歳の誕生日を迎えることができたことが、俺にとって何よりも嬉しかった。
「俺たちも8歳になったんだなぁ」
『ということは、僕も一応5歳になったということになるのでしょうか』
「あっ、そうか。コーラルは俺が3歳の時に、この家に来たからな。お誕生日おめでとう」
「にゃぁー」
『そういえば、リニスさんもお二人の5歳の誕生日にこの家に来られましたし、一応4歳ぐらいということに?』
「今日は誕生日多すぎだろ。まぁ、リニスもお誕生日おめでとう」
お互いのお祝いとして、リニスの頭をぐりぐりしてやろうと実行したら、即行で逃げられた。2度目だけど、俺は今日誕生日なんだぞ。リニスも一応誕生日ということになるんだろうが、それでも誕生日プレゼントとして俺にもふもふさせろや。
『欲望ダダ漏れですねー』
「えー、俺の欲望はかなり健全だと思うぜ」
『ものすごくツッコミを入れたいですけど、今日はお誕生日なのでやめてあげましょう』
「いや、それは逆に気になるだろうが」
コーラルと駄弁っていると、家にチャイムの音が鳴り響いた。今回は今のメンバー以外に呼んでいないので、お客さんということはおそらくない。だとすると、今年も送ってきてくれたのかな。俺は母さんたちに声をかけ、玄関に足を運ぶ。そこには俺の思った通り、配達便の方が荷物を持ってきてくれたようだった。
俺はそれを受け取って、リビングに戻ると、友人たちが不思議そうに荷物を見つめてくる。テスタロッサ家の面々は、これが何の荷物なのかがわかっているので、そこまで驚きはない。俺は送られてきた荷物を、わくわくした目で見つめるアリシアのもとに持っていった。
「アリシアー、今年も届けてくれたぞ
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