第四十六話 少年期【29】
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といった様々なお菓子が並べられていた。クッキーはチョコやマシュマロをはさんだサンドクッキーであり、これはなんと動物の形になっているようだ。隣にいる妹の目の輝きがわかる。
どうやら友人たちは今回、男の子組と女の子組に分かれてプレゼントを用意してくれたらしい。さすがはメェーちゃんやメガーヌといった、器用組が揃って作ったお菓子だ。クイントが自信満々で告げるだけあるな。
「うーん、でもちょっと形が変になっちゃったのもあるんだけどね…」
「そうか? メェーちゃんが言うほど変なものは―――」
おそらくメリニス自身は、本当に謙遜のつもりで言ったセリフだったのであろう。だが、俺は見つけてしまったのだ。彼女たちが作ったクッキーの中で、ひときわ異彩を放っているやつの存在を。
尖ったツノの様なものが端に2つ付いた……縦に細長いクッキー。それに何やら細長い毛のようなものが、チョコペンで一緒に書かれていた。俺は恐る恐るそのクッキーを1枚手にとって、じっくり眺める。上から、横からと見つめた俺は、同時に頭の中をフル回転させた。
メェーちゃんから教わったコントロール法を駆使し、マルチタスクを使用する。レティ先輩から、どんな困難な状況でも考えることを諦めないことが大切だと俺は教わったんだ。様々な可能性を考え、悟りを開く一歩手前まで熟考した俺は、1つの答えを導き出したのであった。
「そうか、わかった。……これは、にんじんのミイラだ!」
「ちげぇ、猫だ! というか、そこまで考えるならもういっそ本人に聞きやがれッ!」
「いや、それはさすがに俺だって失礼かと…」
「ミイラを作っていると断言されるよりましだッー!」
製作者にめっちゃくちゃ怒られました。おかしい、今日は俺の誕生日だぜ。俺の頬が引っ張られているのに、なんで周りはそんなに微笑ましそうに見るのさ。助けろやー。
「はい、僕たちはアクセサリーを作ったんだ」
「アリシアにはこの髪飾りで、簡単だけど布で作ったヘアゴムとシュシュにしたんだぜ。アルヴィンのプレゼントは、……今はテーブルの上にでも置いとこ」
「わぁ、かわいい!」
わぁ、楽しそう。
「って、俺の扱いが本当に雑すぎるだろォー! あとエイカさん、そろそろ俺の頬が取れそうなんだけど!」
「うるせぇ! 材料は同じだから、味は悪くねぇはずだ! とにかくさっさと食いやがれ!」
『皆さん、相変わらず仲がいいですねー』
誕生日だろうとなんだろうと、俺たちはいつも通りのようでした。
「たくっ…、全員自由すぎるだろ」
『ますたーに言われたくないというか、ますたーの周りだからこそというか』
「……日に日にだらだらしてきている気がするぜ」
それなりに色々やってきているつもりだけど、本当に平和だな。ま
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