Introduction
第六話 学園最強
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いきなりで申し訳ないんだけどね。どうしても二人の力を借りたかったの」
昼休みとは打って変わって真面目な表情だ。その言葉からも真摯さが感じられる。
「一緒に入る二年の子は昔から私の……更識の家に仕えてくれる子で信用はできる。でも今の時点で、本当に信用できる人は後はもうあなた達くらいしかいないのよ」
正直、意外だったけどもやはり暗部として生きる彼女は常に人と距離を置いているのかもしれない。……僕も似たようなものか。
とはいえフォルテさんはともかくとして、この短い時間でどうして楯無さんは僕を信用してくれたんだろうか。実際には彼女を騙していることに違いはない。彼女に信用されればされるほど僕の中の罪悪感がどうしようもなく大きくなっていく。
……全てさらけ出してしまいたい。何もかも話してしまいたい。僕が男だと知ったら彼女はどんな反応をするだろうか。変態だと罵り、警察に突き出されるのだろうか。もしかしたらその場で殺されるかもしれない……。それでもいいか、と思うと同時にその自己満足のあとに楯無さんが負うであろう心の傷に思い至る。
馬鹿げている。だったらひっそり消えて勝手に自殺でもすればいい。バレたならともかくわざわざ自分から真実を告げるなんて免罪符にもならない。ならばこのまま偽り続けるしかない。
そう決意したとき、不意に楯無さんが顔を近づけて僕の耳元でフォルテさんに聞こえない声で囁いた。
そしてその一言で
「そんなに思い悩まないで。あなたの全てを知った上で信用する、と言ってるのよ、紫苑君」
僕の頭は真っ白になった。
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