第三十八話「暴走」
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ずだ………
じゃあ、ここは一体、どこだ…………?
………………そうだ……フィリップ………
俺は、あいつに…………
クソ……なんでだ……フィリップ……なんでこんなことに…………
…………………違ウ。
…………あいつハ、フィリップじゃナイ。
…………………アイつは、ホワイトアウト事件デ死んダ。
……オマエハ、ダレダ?
……………………ソウカ、敵ダ。
………………………
………………………………………
…………………………………………………………殺ス。
ソレンスは目を見開き、思わず後ずさった。
心臓を失ったブランクが、仰向けの状態からゆっくりと起き上がった。
普通なら、ソレンスはブランクを心配して声をかけただろう。
しかし、ソレンスはブランクに声をかけず後ずさった。
いや、声をかけられなかった。
開かれたブランクの眼は、明らかに普段のブランクの眼ではない。
表すとすれば…………視線で相手を殺せる、"化け物"の眼だった。
「……ブランク、さん?」
恐る恐る、ソレンスは声をかけた。
「………………………………………………」
返事はなかった。
すると、ブランクの傷痕に異変が訪れた。
傷口から、血とは違う黒い液体が溢れ出してきた。
黒い液体は少しずつ硬化し、傷口を埋め尽くしていく。
胸に空けられた傷口は、硬化した黒い液体で塞がれた。
グチャグチャ。ゴキ。ゴキゴキ。
そんな音が、ブランクの体内から響く。
血走った赤黒い眼で、ブランクはスコーピオが向かった方向を睨む。
「……………………殺す」
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