暁 〜小説投稿サイト〜
真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第三章:蒼天は黄巾を平らげること その5
[8/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
とすると油断ならないというのが仁ノ助の見解で、なるべく下手を打たないようにしようと心に決めていた。
 曹操にとって、いよいよお待ちかねの時が近付いてきた。だが背後の喧々とした様子は一向に変わらず、曹操はじりじりとした痛みを腹部に感じた。

「桂花を連れていたらどうなっていたやら・・・いや、考えたくないわね。これよりももっと喧しくなるでしょうから・・・。嗚呼、この胃の痛み・・・せめて関羽に会って癒しましょう。
 あなた達。そろそろ分を弁えて静かになさい。この曹孟徳の配下としての風格を見せなさい」
『はっ!』「・・・なるならなるで、もっと早く静かになってもいいのよ?」

 小さく弱音を漏らし、彼女等一行は天幕の前に着く。その風格から何かを察したか、衛兵は慌てたように背筋を伸ばした。曹操は表情の強みを深めながら、「失礼するわ」と、天幕の中へと入っていく。
 中には幾人かの者が詰めていた。白い服を着た北郷と桃色の髪をした女性、劉玄徳。彼らに何かを説いていたのか、扇をもって地図をなぞっていた少女は吃驚と目を見開く。頭の後ろに手を置いていた活発そうな赤髪の少女はくりくりとした目を此方に向け、そして漆黒の美ともいうべき流麗な長い髪をした女性が、一振りの剣を思わせる凛々しい瞳に疑問を浮かべていた。曹操が口角を上げたのを見て仁ノ助は察する。あの黒髪の女性こそ、彼女が求めていたモノなのだ。

(関雲長。コッチに来た時のことを思い出しても、まさか本当に会えるとは思ってもいなかった・・・女性なのは今更だけど。というか、劉備といい関羽といい、姉妹揃って胸がでかいな・・・。張飛はどうなっているんだ?まさか奇乳とかいわないだろうな?)

 邪な思いを抱いていると、鋭き直感を働かせた夏候惇が無言で足を踏んできた。北郷らは突然の来訪者に驚いていたがすぐに気を取り直して、口を開いてきた。

「あなたは、先程軍議にてお会いした・・・」「あっ、曹操さん?」
「先程ぶりね、天の御遣いさん。それに・・・劉玄徳、といったかしら。あの場ではあまり話せなかったから、改めて名乗らせてもらうわ。私は曹孟徳。騎都尉として広宗の賊軍を討伐しに来た、漢王朝の将軍よ」
「はわわ!漢室の騎都尉さまが態々訪ねてくるだなんて。まだ弱小勢力の私達にとって身に余る光栄です・・・。み、皆さん。決して失礼の無いようにお願いしますっ」

 帽子をかぶった小さな少女がそう言う。その軟弱な躰を見ていると、とても彼女が武器を振るうような武官とは思えなかった。想像の範囲でしかないが彼女は軍師の役割を担っているのだろう。この時期で劉玄徳に軍師がついていたとは記憶していないが、そもそも天の御遣いすらイレギュラーであるのに今更な疑問であった。

「おぉ・・・鈴々なんかよりも、背の大きいお姉ちゃんなのだ。鈴々も
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ