第三章:蒼天は黄巾を平らげること その5
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えるには、更なる研鑽が自分には必要であると感じ、孫堅は相手の衣類から露出した部分を狙って刃を振るい、見事そこから肉を削ぎ落していく。
孫策は剣を振るいつつ自らの母をちらちらと見遣る。修羅の表情で敵の急所を斬り、息絶えせしめる彼女に、一縷の女の色気が見受けられた。勘の良い孫策は、母親が誰かを想い、そしてそれが向けられる相手とは前の戦いで自分達を救出した騎馬隊の指揮官であると悟る。久方ぶりに見た母親の雌の表情であった。孫策が最後に見たのはまだ幼き頃、夜中に尿意を催して起き上がり、厠に向かう際に通りがかった両親の寝室で行われていた、情熱的な営みを覗き見た時であった。雲の彼方までいくような恍惚としたそれを見て、孫策は自らの胸の高鳴りから自分自身の女の本性を知ったのが懐かしい。
閑話休題。孫策は母親が、再び想いはじめたに違いない男の存在に、自らも興味を抱き始めた。それは彼女の雌が疼いてきたといっても過言では無い。
(母様が認めた男・・・曹孟徳に仕えて、騎馬部隊を率いていたあの男。なかなか興味がそそるわね。今度会ったら、じっくりとお話でもしてみようかしら)
賊の胸部から引き抜いた剣を振り返らずに後背へと振るって、肉薄してきた男の顔面を斬り落としながら孫策は思う。仁ノ助を取り巻く情勢に、また一人普通ではない女性が参戦の意を抱いた瞬間であった。
その後、城を攻める官軍の勢いは止まらず、孫母子もそれを焚きつける様にさらに血を求めていき、二日後には南陽黄巾軍は完全に鎮圧された。なお、その戦闘で指揮官の韓忠を討つ栄誉を頂いたのは孫堅が大きく期待を寄せている期待の新星、孫権であったと追記しておく。
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