第三章:蒼天は黄巾を平らげること その5
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合流後、袁紹軍の本陣にてーーー
金ぴか、高笑い、溜息。これが今の仁ノ助を取り巻く状況である。己の主君よりも見栄っ張りな金髪を双子の螺旋に整えて、その尊大そうな女性は鳥すらも戸惑いそうな高笑いを見せた。彼女に長く連れ添っている部下らはその勢いに慣れているようだが、初対面の仁ノ助ら曹操軍の諸将は面喰い、曹操は思い出したように溜息を吐いていた。幼馴染と邂逅してやるのがそれなのかと問いたくなるが、うざったいくらいの高笑いのせいでそんな馬鹿げた問いはすぐに立ち消えとなった。
皇甫嵩は袁紹ら官軍と合流すると、彼女の本陣にて軍議を開くと報せてきて、曹操は参加。その折に夏候姉妹、そして仁ノ助が共に参加する事と相成ったのである。正直言って、こんな甲高い声に迎えられるくらいなら荀イクと同じように、本陣で部隊をまとめていればよかった。ふと横に目を遣ると、どうやら気疲れしているのは自分だけではないらしい。夏候淵も自分と同じような表情をしていると知ると、仁ノ助は彼女と視線を合わせ小さくうなずいた。彼女が頬を引き攣らせて意思を合わせきたが、それを咎めるように姉の鋭い視線が向けられてきた。
ずらりと、まるで見せつけるかのように配下の武官を控えさせながら、袁紹は言う。
「お待ちしておりましたわ、中朗将皇甫嵩殿。早く軍議に入ってあの賊共をさっさと片付けてしまいましょう!」
「はは・・・その自信満々な態度。あなたは変わらぬな、袁紹殿」
「当然ですわ!名族の生まれとして、私は自分の力を出さねばなりません!すなわち雄々しく、勇ましく、華麗に撃破ですわ。当然でしょう?」
この尊大な態度にある種の納得ができた。やはり彼女は名族出身の漢王朝の忠実な僕、袁本初なのだ。後漢時代に四代に渡って三公である、司徒・司空・太尉を輩出してきた名門の後取り娘。知識を研鑽する過程で自らの一族が漢王朝の歴史に大いに貢献したことを知り、誇りに思ったのであろう。そして自らもその末端に加えられる名誉を受けたいと思っているのだろう。自意識が過剰となって軍旗や、はては兵の鎧もが派手なものと成っているのはこのためか。
その隣の席、淡い赤色の髪をポニーテールにして、面倒に付き合わされる身にもなってほしいという愚痴を溜息に変えて疲れた表情をしている女性が、公孫讃将軍である。年齢の若さに似合わず苦労の皺が眉間に寄せられているのが可哀想に思える。だからといって救済しようとは思わないのが、仁ノ助の本心であったが。
(ファンタジーな性格をした御姫様だな。んで、隣に立つこの青年が、件の義勇軍の棟梁という事か)
仁ノ助は公孫讃の隣に立つ、妙にそわそわとした桃色の髪をした女性を従えた、一人の端正な青年を捉える。太陽の光を浴びて白く輝く服は、何処かお嬢様学校に通う学生服のようでもあり、天界から来た
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