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少年と女神の物語
第十八話
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レクのせいにして押し付けた。
 まだカンピオーネだとばれたくなかった時期だったから、そうするしかなかった。
 まあ、さすがにもう誤魔化しきれないよな・・・護堂の権能の中に、雷に関わるものはないみたいだし・・・まだ使えないのの中にあったら、今度一発ぶん殴ろう。

 そんなことを考えながら二人の様子を見ていると、エリカの手にあったクオレ・ディ・レオーネが十本の鎖になり、二人を取り囲む鎖の輪を形成していた。

「ローマの秩序(ちつじょ)維持(いじ)するため、元老院(げんろういん)全軍指揮権(インペリウム)剥奪(はくだつ)を勧告する。獅子(しし)の鋼よ、その(いしずえ)となれ!――――元老院最終勧告(セナトゥス・コンスルトゥム・ウルテゥムム)、発令!」

 そして、呪文を唱えきると術が完成した。
 あれは・・・防御の術の類か。かなりの強さだけど・・・大してもたないだろうな。

「急ぎなさい、護堂!そう長くはもたないわ!」

 エリカが言っている間にも、術にヒビがはいっていく。
 この技は強力な代わりにいくつか面倒な点もあるため、使いづらい。
 例えば、俺を中心とした一定範囲内を無差別に攻撃し続けたり、これを使うと一週間くらいゼウスの権能が使えなかったりする。
 まあ、台風の目のように俺には当たらないだけ、よしとしよう。

「仕方ないな・・・鳳を使って逃げるぞ、エリカ!」
「分かったわ!」

 護堂はエリカを抱え上げ、言霊を唱える。
 鳳って言ったし、対象は俺が出した雷か。

「羽持てる者を恐れよ。邪悪(じゃあく)なる者も強き者も、羽持てる我を恐れよ!我が(つばさ)は、(なんじ)らに呪詛(じゅそ)(むく)いを与えん!邪悪なる者は我を打つに(あた)わず!」

 そして、エリカの術が切れるのと同時に護堂は走り出し、雷を全て避けてどこかへ行った。

「さて、刀を研いでくるのを大人しく待つとしますか。どんな刀を研いでくるのか・・・」

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