ルリム・シャイコースとの戦い T
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た瞬間に軽い火傷を負ってしまったのだ!
「どう・・・・・・して・・・?」
焼けるほど気温が暑い訳がない。なら・・・原因はなんだ?そう考えて、彼女は愕然とした。
彼女たち、魔術や呪術に関わる人間は、古今東西、世界中の神話や英雄譚の情報を知らなければならない。いつ、どんな神や英雄がまつろわぬ神として降臨するか分からないからだ。山奥の、一部の部族でしか信仰されていない神というのも山ほどいる。
当然、クトゥルフ神話についての情報だって彼女は持っている。
だからこそ・・・絶望した。
「原因は・・・私自身・・・!」
彼女の体。ルリム・シャイコースによって、彼の放つ白い光に耐性を持たされた彼女の体こそが、この現象の原因。
『光に耐性を持たされた魔道士は、その代償として冷気と薄いエーテルの中でしか暮らすことができず、そこを離れて暖かい陽光や地上の大気の中で生きることは出来なくなってしまう』
この一文。あぁ、何故今まで思い出さなかったのか!これはつまり、この権能の効果範囲から出れば、今のように焼け死ぬということではないか!!!
膝を付きそうになる彼女。・・・だが、彼女はそれに耐えた!
「まだ・・・です。まだ全ての可能性を試していません・・・!膝を付くには、まだ早すぎます・・・・・・!!!」
多数の命の犠牲があったからこそ、彼女はこうして生きている。そんな彼女が、こんなことで生きることに絶望するなんて、あってはならないのだ・・・!
それから彼女は、様々な呪術を試す。
火や火傷に耐性のある呪術。傷をある程度の速さで修復し続ける呪術。投函の術で、ルリム・シャイコースの情報だけでも送れないかと試してみたりもした。凍りついた家のドアをこじ開けて、電話を使おうとしてみるも、家の中まで全てが凍っていた。当然、機械類も全て。
思いつく限りの方法を試した彼女。
・・・だが。
「無理、ですか・・・・・・。」
彼女に出来る、全ての可能性を試した。そして、出た結論がこれだ。
フラフラと。
一体どういう道のりを歩いてきたのだろう?いつの間にか彼女は、タージマハル廟へとやってきていた。植えられた木々も凍りつく、表広場に躊躇せずに座り込む。肌が、あまりの冷たさに痛いと叫んでいるが、それを気にする余裕など、今の彼女には存在しない。
「・・・・・・ぐすっ・・・ひぐっ・・・!」
(御免なさい皆さん・・・!御免なさい定敬叔父さん・・・!!!私は、なにも出来なかった・・・・・・・・・!)
ポロポロ、ポロポロと、銀色の涙が頬を伝い、こぼれ落ちる。嗚咽を漏らした彼女は、目の前に近寄る驚異にも気がつけなかった。
『気は済んだか?』
「・・・っ!?」
彼女
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