第二部
第三章 〜群雄割拠〜
百七 〜急転直下〜
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ぬ事を企んでいると、あらぬ疑いを持たれかねませぬからな」
ねねの言葉に、皆が考え込む。
今度は月ではなく、私が狙われる立場になりかねぬ。
敵が増える事を恐れる訳ではないが、戦いの場は己で整えたい。
それには、この洛陽は相応しい場ではない。
「…………」
そんな中、朱里だけがずっと思案に明け暮れていた。
「朱里」
「…………」
「朱里ちゃん、ご主人様が」
雛里に身体を揺さぶられ、漸く皆の視線に気づいたようだ。
「……え？ は、はわわわっ、す、すみましぇん！」
「お前の存念も聞かせよ。何か策があるのではないか？」
「は、はひっ！……一つだけでしゅが」
「朱里ちゃん、落ち着いて。深呼吸、深呼吸」
「う、うん。すうはあ、すうはあ」
何とか呼吸を整えてから、朱里は私を見た。
「ご、ご主人様。陶謙様のお言葉、覚えておいてですか？」
「陶謙？」
「はい。徐州を託すと仰せでしたが」
「うむ、確かに覚えているが」
「劉ヨウさんが州牧として着任されていますが、民の皆さんが日々の暮らしにも困っているようです」
「……それなら、追い出して後釜に座ってしまえって事？」
「いえ。大義名分を得れば宜しいかと」
詠に向けて、朱里ははっきりと答えた。
「陛下に、正式に徐州牧として任じていただいてはどうでしょうか？」
「だが朱里。私は既に交州牧だぞ？」
「兼任ならば問題ありません。前例もある事ですから」
「では、劉ヨウはどうする？」
「職務を果たせていない以上、解任が妥当でしょう。勅命さえあれば、ご主人様に義があると天下に示せます」
朱里にしては物騒な策ではあるが、現状を打破するには悪くない。
このまま無為に日々を送るよりも、確たる拠点を手にすべきやも知れぬ。
「他の者はどうか？」
「風は賛成ですねー。利用できる機会をみすみす逃す事はありませんし」
「私も宜しいかと思います」
禀が続いた。
「ねねも同意ですぞ」
「私も、朱里ちゃんの策に賛成です」
「ふむ。詠、お前はどうだ？」
「そんな経緯があったなんて知らなかったけど、僕としては異存はないわ。ただ」
「何だ？」
「月はどうかしら？ あの子、こういう真似は好まないと思うけど」
「……うむ」
幸か不幸か、月はこの場におらぬ。
辞した職の引き継ぎの為、宮中に呼び出されていた。
「月には私から話そう。朱里、雛里と共に手筈を進めよ」
「御意です」
「ぎ、御意です」
「ねねと詠は、主立った者に明朝集まるよう申し伝えよ」
「承知ですぞ」
「わかったわ」
「禀は今後の方針をまとめよ。風は徐州情勢を調べよ」
「御意」
「御意ですー」
劉ヨウに恨みがある訳ではな
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