第二部
第三章 〜群雄割拠〜
百七 〜急転直下〜
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程なく雪蓮が、蓮華、思春、明命を伴い姿を見せた。
「悪いわね、急におしかけちゃって」
「いや、構わぬ。単刀直入に問うが、交州の話か?」
私の言葉に、雪蓮は頷く。
「ええ。どうやら歳三も知ってるみたいだけど、わたしの方でも情報が入ったの」
「うむ。だが、それを態々知らせに参っただけではあるまい?」
「流石ね、その通りよ。交州情勢は、わたしに取っても他人事じゃないわ」
そして、明命と思春の二人を前に押し出した。
「疾風と比べれば未熟かも知れないけど、役に立つはずよ。交州の情勢確認と、主立った将の行方を探る為にね」
「なるほど。手を貸すと申すか」
「そうよ。悪い話じゃないでしょ?」
二人の実力は疑うべくもない。
此方としては、正に渡りに船の申し出ではある。
「ふむ。それはありがたいが、単なる厚意だけではあるまい?」
「歳三ならそのぐらいお見通しよね。暫く、蓮華を預かって欲しいの」
「預かる?」
蓮華本人は、神妙な顔で話を聞いている。
「わたし達が呉の地に旗を立てる事が悲願だって、知っているわよね?」
「以前、睡蓮(孫堅)が申していたな」
「それは今でも変わらないわ。だから、これから揚州に赴く事になるわね」
今の雪蓮は、決して多くの手勢を率いてはいない。
一時的に朝廷から糧秣や資金援助を受けたとは申せ、確たる拠点を持たぬのでは致し方ない事ではある。
その気になれば、官位と何処かの郡太守という地位を手にする事も不可能ではあるまい。
だが、孫家にとってはあくまでも呉の地は絶対不可欠。
袁術という強敵を倒さねばならぬが、あくまでもそれに挑む覚悟のようだ。
「厳しい道のりだって事は、承知の上。でも、わたし達が志し半ばで倒れる可能性もあるわ」
「……では雪蓮さん。万が一の事を考えて、蓮華さんを残すと?」
「そうよ、月。でも、わたしのところは二手に分けられる程の戦力はないわ」
「それで私のところに、と?」
「蓮華だけじゃないわ。交州から戻ったら、思春も同じく預けたいの。勿論、客として遇して欲しいなんて言わないわ」
「だが、私のところが絶対に安全とは申せぬぞ? ましてや、今後は戦乱の世となる」
「そうね。でも、少なくともわたしと蓮華が一度に死ぬ事はない。それに、蓮華にとってもいい経験になる筈よ」
と、それまで押し黙っていた蓮華が口を開いた。
「歳三。これは、私自身も納得ずくの事よ。まだまだ私は姉様に及ばない、だからいろんな事を学びたいの」
「覚悟は出来ている、そう申すのだな?」
「ええ。戦も内向きの事も、あなたのところなら存分に学べると思うの」
それだけではあるまい。
見方を変えれば、蓮華と思春は人質とも取れる。
私と
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