黒麒麟動く
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はまさに神速。先頭を駆ける張遼によって兵の壁など草原にたゆたう草の如くなぎ倒されていく。
董卓軍との決戦にて最初の囮の役割を果たしてくれた袁紹軍には感謝しましょう。
乱戦に持ち込まれてもこちらに分があるがそれでは被害が増えるしおもしろくない。
「春蘭、秋蘭」
「「はっ!」」
「我が軍の精強さを見せる時は今、ここよ。季衣と流琉を連れて董卓軍を蹂躙してきなさい。戦場での判断は二人に任せる。できるわね?」
「華琳様の望み、必ずや果たしてみせましょう」
「「「御意に」」」
四人が一様に決意の籠った眼を携えて頷き、それぞれの隊を率いて進撃し始めた。
「桂花、あなたは凪を連れて左翼の軍に当たりなさい」
「御意」
張遼さえ捕えればこちらの勝ち。今回は時間との勝負ではない。じっくりと確実に仕留める事が大事だ。
問題は呂布だが、秋蘭の判断に任せる事にした。
決戦の戦場は広く、大きい。飛将軍の対応に伝令を使っていては間に合わない。
あの子ならば冷静に対処できるでしょう。
春蘭には後々張遼と当たるように事前に指示してあるのだから問題ない。
彼女の愚直とも言える忠誠心が役に立つ。戦場での嗅覚は人一倍強く、私のためになる事をしっかりとやりきってくれるのだから。
季衣と流琉は保険。春蘭と秋蘭が呂布に遭遇してしまう可能性を考えて。
四人がある程度の間隔で戦っていればその対応に概ね問題はない。
桂花には多くの兵を持たせてあるが凪の経験も積ませたいから二人で。
「ふふ……」
笑いが抑えきれなくて漏れてしまった。
楽しいという自分の感情が素直に顔に零れ出ている。
例え勝ちの目が大きかろうと全力を尽くして戦うことが楽しい。
自分が立ち向かう敵がいるという事が楽しい。
自分の願いのために皆が死力を尽くして戦ってくれるのが楽しい。
度し難い欲望だと思う。不謹慎だとも思う。それでもこの乱世が愛おしい。
私の存在は戦うためにあるのではないか。
全ての理不尽を打ち砕き、支配し、その先に立つために。
戦によって飢えた心が満たされていく。
しかしもっと大きく。もっと強大に。もっと、もっと……と望んでしまう。
なるほど、私は確かに乱世の奸雄だ。
ならば混沌たる外の乱世も、安寧なる内の平穏も、全てを愛し、手に入れましょう。
†
「策殿、呂布が来たぞ。顔良め、厄介なものを連れて来おって」
戦場で共に戦っていた祭が憤りながらこちらに言う。
あれは本当に厄介だ。しかも虎牢関の時よりも研ぎ澄まされているのが嫌でも分かる。
あの時は何故か不安定に見えていたが今回は比べものにならないほど力強い。
本拠地という事でこれほどまでに違うのか。
「わかってるわ。全軍広がれ! 間隔を広く取り敵
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