黒麒麟動く
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さずに、その忙しない動きを見つめている二人に確認を取る。
「私は愛紗と鈴々と共に呂布隊に当たりに行き、牡丹は離脱しようとする兵の追撃、白蓮殿率いる白馬部隊は馬超殿と共に張遼を抑えに行く、でしたな?」
「白蓮様の判断に従うだけですからご随意に。ああ、白蓮様の活躍がこの目で直に見れないのが悔しいです本当なら共に戦ってすぐそばでその勲功を上げる手助けをしたいというより美しい白蓮様のお傍にずっと付き従っていたいというのにあの子供の策が邪魔ですこれは一種の試練なのかもしれません私と白蓮様の密な時間を引き裂くための「少し、頭を、冷やせ」ふわ、ごめんなさい!」
戦場だと言うのにこいつはいつも通り暴走しだしたが、星が耳元で何やら囁いてそれを止めてくれた。そのいつも通りの光景が私に安心感を与えてくれる。
「よし、じゃあそれで行こう。牡丹、お前の事は信頼しているんだ。だから後ろは全て任せたぞ。星もいつもありがとう。呂布の強さは異常だから気をつけろよ?秋斗が倒れた事を気負いすぎず絶対に無茶するな。早く戦を終わらせて私達の家に帰って店長の店で酒でも飲もう」
私がそう言うと牡丹は顔を赤らめ目に涙を滲ませて蕩けきった顔をし、星は少し照れくさそうに苦笑した。
「……クク、気にかけて頂き感謝致しまする。しかし私も武人であり、あなたの軍の将。戦場では主の為に我が槍を振るうのみです。必ず生きて戻ります故、安心してくだされ」
語りながら合わされるその眼に昏い色は無く私への信頼が見て取れた。しっかりと自分を理解し個人の感情を割り切って行動できる星は本当に頼りになる。私にはもったいないくらいの将だ。
「ふふ、頼りにしているぞ、二人とも」
「伝令! 城門より紺碧の張の旗が出て参りました!」
張遼も出て来たか。今回は牡丹と一緒じゃないがシ水関での用兵対決の決着を付けたい所だ。
浮かんだ気持ちに私は一介の武人でもあるんだなと少しの驚きを感じる。
「白蓮殿こそ、燃えたぎるその瞳を隠せておりませんな。あまり無茶をせずちゃんと我らの元に無事帰って来てくだされ」
にやりと笑い、先ほどの私への意趣返しとばかりに言ってくる星に苦笑が漏れる。
「ありがとう。お互い約束だぞ。私達の願いのために」
そう言って振り返り後ろに構える自分の兵達に向けて剣を上げ叫ぶ。
「聞け! 幽州を守りし勇者達よ! 長きに渡ったこの戦もあと少し! 終われば我らが家での安息の日々が帰ってくる! 大陸の平和は幽州の平和なり! 友のために、家族のために、全てを賭して敵を屠れ!」
口上を述べると兵達から雄叫びが上がる。彼らもこの長い戦によく従ってくれる。
「各隊、出撃!」
さあ、私達の仕事を始めよう。
†
張遼が来た。
呂布隊が開いた隙間を突貫し、鋭く、そして速く。
その速さ
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