黒麒麟動く
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る。
「頼りにしている、雛里」
こちらを向いて笑みとともに語られ、秋斗さんと徐晃隊に見惚れてしまっていた私は慌ててすぐに頷く。
なんて頼もしい人達なんだろう。
士気は秋斗さんが怪我をしているのも有ってか凄く高い。それにしっかりと冷静さも持っている。
私はこの全てを操りきろう。一人でも犠牲を減らす為に。
「後な雛里、もしもの話だが――――」
続けて秋斗さんが話し出した事に私は驚愕し、反対したが彼の想いを汲む事しかできなかった。
この人が壊れないために……私はそれくらいしかできなかった。
†
予想通り門が開き現れたのは真紅の呂旗率いる最強の軍。
「夕の言った通り私達が攻めてる時に来たかー」
「ちょ、ちょこちゃん! 呑気に言ってる場合じゃないよぉ! 速く逃げないと」
私の言葉にわたわたと焦りながら顔良が必死で懇願する。
「分かってるって。さあ、董卓軍を伸ばして叩いてすり潰すよ! 張コウ隊、顔良隊は対応しつつ後退開始! 他は城壁に沿って左右に開け! 後方弓隊、最前の兵が開き次第山なりに城門前に向けて一斉射撃! 敵の足を少しでも止めろ!」
自分の掛け声に瞬時に反応し全ての兵が行動し始める。
同時に城門側最後方に悲鳴が上がる。少し遅れたみたいだけど化け物も出てきたか。
「りょ、呂布が来たよちょこちゃん!」
立ちふさがる兵などいないかのような飛将軍の進撃に顔良は焦りと恐怖を隠せず真っ青になってあたしに言う。
「大丈夫! 二手に分かれて動き始めた後方両軍の真横を掠めて行くよ!」
中軍では二つの軍がこれから溢れてくるであろう董卓軍を包めるように陣形を広げていた。連合軍全体が自然と作るのは包囲網。殲滅する事よりも洛陽の確保に意識を置いたモノであり全ての軍がそれを分かっているから勝手にこの形になるだろうとは思っていた。肝心なのは殲滅ではなく戦の勝利にあるのだからある程度抜かせても問題はない。
「うん! 顔良隊、最速で孫策軍の横を駆け抜けろっ!」
怯える心に気合を入れて彼女は自分の隊を率いて行った。
「さあ、あたしたちもだ張コウ隊! 曹操軍の横を駆けろ!」
董卓軍を洛陽から連れ出して縦横無尽に連合包囲網内で駆けまわる事が自分達の仕事。
かき回し、兵の損害だけをただ増やすように動く。
劉備軍の前まで呂布を連れて行ければいいんだが。
「とりあえずは急がないとね」
他の軍が思うように動いてくれればいいんだけどな。
時間をできる限り引き伸ばして洛陽内から全ての兵を引きださないと。
†
決戦ともなれば私達騎馬主体の軍も楽に動くことが出来る。
「星、牡丹、私達のこの戦での動きだが諸葛亮からの伝令が言った通りで行こうと思うがいいか?」
陣形の変化を続ける他の軍から目線を外
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