黒麒麟動く
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†
張遼の用兵はやはりというべきか凄まじかった。
「くっ、さすがだ。幽州の白馬部隊がこうも翻弄されるとは」
牡丹がいればもう少し違ったんだがいない者を求めても仕方がない。
今は馬超が張遼と争っているがその実力は均衡しているように見えた。
人馬一体とはあれの事を言うのだろう。
用兵ならば馬超よりも上だと胸を張って言えるが個人の武では敵いそうもない。
「シ水関では関羽、虎牢関では夏候惇、洛陽では錦馬超かい。うち、もてもてやなホンマ」
冗談めかして言っているがその表情は真剣そのもの。
一騎打ちに割って入るほど私は落ちぶれていないので邪魔しないが羨ましく思う。
「あたしの馬術に付いてこれる奴が西涼以外でいるなんてな」
馬超は楽しそうに笑いながら言い放つ。
その時視界の端に黒いモノが掠め城壁の上を見上げる。
あれは……煙か?
城壁の上から煙が立ち上っている。洛陽に火が上がっているという事か。しかも一つじゃない。
「おい! 洛陽から煙が上がってるぞ!?」
私の他に気付いた兵達が口々に騒ぎ出す。
大きな金属音を響かせ互いに武器を弾いて張遼は馬超の横を抜け、振り向いて城壁の上を少し見た。
その表情は驚愕、そして次に困惑、最後に膨大な、はち切れんばかりの憤怒に変わった。
「なんでや……まだわからへんだやないか。それにあれはちゃう。あの場所は屋敷の場所ちゃうやん。……そうか……これがお前らのやり方かい!」
全てを呑みこむこのような怒号と共に馬超に突撃する。
「ぐっ!」
馬超はなんとか耐えたようだったが鬼気迫るその殺意に圧されてしまっていた。
「張遼隊! 右翼突撃! 喰らい尽くせぇ!」
それは張遼が行うとは思えない愚かしい号令。だが兵達の瞳も怒りに染まり、応とそれに従い、私達を無視して袁紹軍に向かい突撃し始めた。
「逃げるのか!?」
思わず反射的に上げた馬超の一言にも振り向かず彼女は進んで行く。
何が起こったのか分からないまま、張遼の気迫にそれを追う気にもなれず、私達は他の軍との戦いに向かおうとして……
すぐ目の前を黒い麒麟の部隊が横切って行った。
†
予想していた通りの事が起こった。
洛陽でのこの展開は分かっていた。
どうせあのクズが中に送り込んでいたんだろう。
董卓は悪でなければいけない。そんな押し付けを行うためにあのクズは無駄に民を殺す。あれはそんな策を平気で出す。
洛陽内部に紛れ込ませた細作を使い火を放ち董卓の責とすること。
今頃生贄のために董卓や賈駆を探しているのだろう事も予想に難くない。
「麗羽。これがあいつらのやり方。そしてあなたと私の敵のやり方」
横で怒りと恐怖に震える彼女を責める事はできない。
「す、すぐに猪々子
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