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Epos7八神家の日常〜Working〜
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†††Sideシグナム†††

暦は8月1日。夏という季節で、ますます暑くなってきた。そして今朝もまた私はルシリオンと木刀での模擬戦に勤しむ。ルシリオンは両手に持った木刀を、右は防御、左で攻撃といった風に使う。実に堅固。こちらも木刀と鞘を使って攻防。なんとか防御を貫こうとするのだが・・・。

(あと一歩・・・、もう一歩が届かん・・・!)

日に日に鋭さと重さを増していく一打一打。初日での模擬戦では木刀を弾き飛ばすだけの余裕が有ったが、今では防御を切り崩すのに精いっぱいとなってしまった。だがこのまま負けるわけにはいくまい。ルシリオンもまた、主はやてと同様に我ら守護騎士が守るべき大切な家族なのだから。

「(護衛対象より弱くては、な!)はああっ!」

ルシリオンを力づくで押し返すことで鍔迫り合いを中断させ、僅かにたたらを踏んでいるその隙に左手に持つ鞘の一打を振り下ろすが、「危な・・っ!」無理やり体を捻ることでかわされた。ルシリオンは私の後方へ跳ぼうとし、その交差する際に両手に持つ木刀で私の太腿、そして腹を打って来ようとした。それを右の木刀を自身の体とルシリオンの木刀の間に差し入れる。

「っぐ・・・!」

「おおおおおおお!」

その重い一打に右手が痺れる。さらに力が込められた木刀によって私の体は弾き飛ばされてしまった。今度は私がたたらを踏んでいる隙にルシリオンが突進してきた。こちらも踏ん張って負けじと突進。再び交差するときに私の鞘とルシリオンの木刀が激しい音を立てて衝突し、その衝撃で互いの得物が手から弾け飛ぶ。
互いの利き手に有している木刀で打ち合いを始める。こうなってはいつものように時間切れまで打ち合いを続けるまで。私とルシリオンの一刀での戦いはまず決着がつかない。実力伯仲。ゆえに打倒するという意志が揺らいだ。そう。そのような僅かばかりの気の緩みが、生まれてしまった。

「せいっ・・!」

「しま・・・っ!」

鋭い、重みの無い速さだけの一閃。それが私の木刀を弾き飛ばすまではいかずとも、ルシリオンの迎撃に間に合わないほどに逸らされた。

「最後の最後で油断したんじゃないか、シグナム?」

「・・・すまなかった。少々気が緩んでしまったようだ」

私の心臓付近に突き付けられた木刀からルシリオンの顔を見る。ベルカ時代ではオーディンに一撃も入れることは叶わず、現代では気の緩みがあったとは言えとうとうルシリオンに負けてしまった。

「そろそろはやてとシャマルが朝食を作り終える時間だから、今朝はここまででいいかな?」

変身を解き子供の姿に戻ったルシリオンに「ああ」と応じると、彼は庭限定に展開されていた模擬戦用結界を解除した。

「ちょうど良いタイミングね、2人とも。朝ご飯できたわよ♪」

主はや
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