GGO編ーファントム・バレット編ー
62.現実の襲来
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シノン!助けを呼べ!」
「シュ......」
その名を呼ぼうとするが、慌てて体を起こそうとするが脚が言うことを聞かない。
どうにか壁を頼りに体を起こす。彼は、お茶の水のダイブ場所からここまで来たのだ。数歩ドアへと歩もうとしたとき......重大なことを思い出したのだ。
恭二は、致命的な武器を持っている。
振り返り、注射器が、と叫ぼうとした時。
押さえ込まれていた恭二が、完全に理性を失い、弾かれるようにシュウの体が吹き飛び、二人の体勢が入れ替わる。
「お前......おまえだなぁぁぁぁ!!」
絶叫が響く。
「僕の朝田さんに近づくなぁぁぁぁぁッ!!」
体を起こすシュウの頬に、恭二の左拳が食い込む。同時に右手がジャケットのポケットに差し込まれ、あの禍々しい注射器が掴み出された。
「シュウーーッ!!」
叫ぶ。
「死ねぇぇぇぇぇぇッ!!」
高圧注射器が、シュウの胸に突き立てられ、ブシュッ!!という、小さく、鋭い音が響き渡った。
それは、恐ろしいことに、高性能の減音器を装着した銃声に酷似していた。
気づいた時には、足が床を蹴っていた。
「シュウーーッ!!」
再び叫んだ。
叫びと同時に鈍い音が響いた。恭二はベットの方へと物凄い勢いで吹き飛ばされる。吹き飛ばされた恭二が、ピクッと動いた瞬間、再び鈍い音が部屋に響いた。
顔面を殴られた恭二は、ベッドのフレーム角に頭を激突させ、動かなくなる。
「シュウっ.......!」
細く叫びながら、床に横たわる少年に向かって屈み込む。
少年は、薄く開けた目と掠れた声を漏らした。
「......まさか、あれが.....注射器だったなんて.....」
「どこ!?どこに打たれたの!?」
シュウのジャケットのジッパーを千切るような勢いで引き降ろす。
ジャケットの中は、何も着ておらずそこには、妙なものが張り付いていた。
「......!?」
直径三センチほどの円形。薄い銀色の円盤のまわりに、黄色のゴムでできた吸盤のようなものがはみ出している。
「ねぇ.......ちょっと」
「うう......駄目だ......呼吸が......苦しい.....」
「ねぇ、ちょっとってば」
「......死ぬのか.....咄嗟に遺言なんて......思いつかないぜ.......」
「これ、この張り付いてるもの、何なの?」
「.......え?」
シュウは瞼を開けると、自分の胸を見下ろした。そして右手の指で金属円をなぞる。
「......ひょっとして......注射は、この上に?」
「なんか.....そうみたい。何なのよこれは?」
「......ええと.....多分、心電モ
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