GGO編ーファントム・バレット編ー
62.現実の襲来
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僕を止められると思うの?」
ふらつく足に力を込めて立ち上がりながら答える。
「君は、言ったよね。私には、本当の力がある、って。拳銃で誰かを撃ったことのある女の子なんか他にいない、って」
恭二は白くなった顔を強張らせ、ながら退がる。
「だから、これはもうモデルガンじゃない。トリガーを引けば実弾が出て、君を殺す」
恭二をポイントにしたまま、じりじりとキッチンへと向かう。
「ぼ......僕を......僕を、ころす......?」
うわ言のように呟く。
「朝田さんが、ぼくを.....ころす......?」
「そう。次の世界に行くのは、君ひとりだけ」
「やだ.....嫌だ......そんなの.....嫌だ.....」
恭二のベットの上にぼんやりと正座するように座り込む。
右手がゆるみ、高圧注射器が半ば滑り落ちかけてるのを見て、この気に奪おうとも思ったが、そのままゆっくり移動し、キッチンへと踏み込んだ。
視界から恭二が消えた瞬間、床を蹴り、ドアへと走った。
走った勢いで踏んだマットが滑り、体勢を崩す。どうにか倒れるのを堪えたものの、左膝を床に打ち付けて激痛が走る。それでも体を伸ばし、右手でドアノブを握った。
しかし扉は開かなかった。鍵がかかっていたのだ。
解錠が指先の感覚でわかった。あとは扉を開けるだけだ。
そう思った瞬間、後ろに投げ出されていた右足の踝を、四つん這いになった恭二が両手で足を捕らえている。
ノブを回そうとするが凄まじい勢いで足を引っ張られ、キッチンへと引き込まれるが、玄関の段差を掴み抵抗。
それほど体格の変わらない恭二の力に左手が外れ、途端に勢い良くキッチンの奥に引き戻される。
たちまち、恭二の体が圧し掛かってきた。右手を握り、再び顎を狙うがわずか掠ったところで左手に掴まれる。
「アサダサンアサダサンアサダサンアサダサン」
壊れたような表情で顔を近づけてくる。拒み左手で退けようとするが、その手首も恭二に右手に捕らえられてしまう。
両手を押さえられ何もできなくなった。ーーその刹那。
冷たい空気が流れ込んでくる。恭二がさっと顔を上げ、後方を見やった。
と思った瞬間、いつのまにか開かれたドアから黒い突風が流れ込む。それと同時に恭二が部屋の中へと吹き飛ばされる。
一瞬、何が起きたのかわからなかった。だが、吹き飛ばされ、鼻と口から血を流して倒れこむ恭二を押さえ込む見知らぬ若い男が起きたことを脳に知らせる。
ところどころはねている黒い髪。黒いジャケット。咄嗟に、アパートの住人が入ってきたのかと思ったが、その少年に見覚えがあった。
(.....まさか.....)
その予想は、その少年の叫ぶような声とともに悟った。
「逃げろ
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