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GGO編ーファントム・バレット編ー
62.現実の襲来
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なら新川恭二と鉢合わせになればどうなるだろう。恭二は、逃げるか、諦めるか.....それとも、手に持つ注射器を、かれらにむけるだろうか。

自分がここで死ぬとしても彼らを巻き込むわけにはいかない。

(......だからってもう、どうにもならないよ)

そのとき不意にあの映像が脳裏に浮かんでくる。
死銃がこちらに銃口を向けてくるさなか、そこに割り込むように入ってきて私を守ってくれた少年のことをーー

(私たちはいままでずっと、自分しか見てこなかった。自分のためにしか戦わなかった。でも......もう遅すぎるかもしれないけど、せめて最後に一度だけ、誰かのために戦おうよ)

詩乃は闇の底でゆっくり瞼を開けた。逸らし続けた現実に眼を向ける。

サンドイエローのマフラーを巻いたシノンがこくりと笑うと、詩乃を助け出す。そしてはっきりとした言葉が響いた。

『さあ、行こう』


一度強くまばたきしたと同時に、詩乃は現実世界と再接続を果たした。
恭二は、右手の注射器を首元に当てながら、上半身からトレーナーを引き抜こうとするが、片手でうまくいかず、苛立っている。やがて引きちぎらんばかりに布をぐいぐい引っ張り始める。
その瞬間、注射器の先端が滑り、体から離れる。それと同時に左手で注射器のシリンダー部を強く握り、同時に右の掌で恭二の顎を強く突き上げた。
恭二は仰け反った。体を押さえていた重みが消え、何度も右掌を突き出しながら、必死に注射器を引っ張った。

すると注射器が抜けると同時に、ベッドの頭側から転がり落ちて、はずみで抽斗が一つ抜け落ち、中身がこぼれ落ちる。

恭二の両眼は大きく見開かれ、舌を噛んだらしく、小さく血が見える口から、嗄れた声を漏らす。

「なんで、こんなことするの......?朝田さんには、僕しかいないんだよ。朝田さんのことは解ってあげられるのは、僕だけなんだよ。ずっと、助けてあげたのに.....見守ってあげたのに.....」

確かに彼は私を助けてくれた。
だが、それは偶然の産物ではなく、私を連日付け回した結果だ。

「.....新川くん」

強張った唇を動かして、言う。

「.....辛いことばかりだったけど....それでも、私、この世界が好き。これからは、もっと好きになれると思う。だから.....君と一緒には、行けない」

立ち上がろうとして、右手を床につくと、その指先に冷たい何かが触れた。
それは先ほど抽斗の奥から抜け落ちた現実世界の恐怖の象徴。第二回BoBの参加賞で送られてきたモデルガンーー《プロキシオンSL》。

手探りでそのグリップを握ると、銃口を恭二に照準する。

「......何のつもりなの、朝田さん。それは....それは、モデルガンじゃないか。そんなもんで、
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